永井孝尚ブログ

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「子供の笑顔」が欲しい両親に、ケーキ屋ができること

先週講演を終えた後、質疑応答でこんな質問をいただきました。

洋菓子店を経営しており、デコレーションケーキを売っています。
有り難いことにホームページを見て、車で1時間かけてくるお客様もいます。
そこで考えたのは、お客さんが本当に欲しいものは「ケーキ」でなく「子供の笑顔」じゃないか、ということ。
そこでパーティグッズなども置くようにしました。
さらに「ニューヨークで見つけたバースディカードも並べたらどうだろう」とも考えています。
ただ一方で「雑貨みたいなものを置くと店の方向性が違うのでは?」という思いもあります。
どのように思いますか?

 

真剣にお客様のことを考え抜いている姿勢が、本当に素晴らしいですね。
一方で、店の方向性についても真剣に考え抜いておられます。

いただいた質問に対して、このようにお答えしました。

 

恐らく必要なことは、「子供達の笑顔が見たい」というお客様が求めていることに対して「ケーキ屋としていかに応えるか」ということではないかと思います。悩んでおられるのもその点ではないでしょうか?

ここでクリステンセンが著書「ジョブ理論」で書いた話が参考になります。
米国のあるファストフードチェーンが、「ミルクシェイクをもっと売るためにどうしようか?」と考え、まずはお客様を理解するために店に来るお客様を一日中観察しました。

すると、朝9時に一人で来てミルクシェイクを買い、そのまま車に持ち込んで走り去るお客様がとても多いことがわかりました。何人かに実際に質問したところ、共通した課題を抱えていました。

米国人は、車で通勤します。30分車を運転するのは退屈なので、何か食べたいと考えていました。
・しかしバナナだとすぐ食べ終えてしまいます。
・ドーナツだとべと付いて車の中では食べられません。
・色々考えた末、ミルクシェイクが最高の解決策だったのです。飲みにくいので飲み終えるのに20分かかるし、車のカップホルダーに収まります。

このようにお客様の課題がわかれば、ミルクシェイクをより売る方法がわかります。
・もっと飲みにくくして飲み終えるのに時間がかかるようにする
・チョコやフルーツのかけらを入れて、飽きないようにする
・朝9時はセルフサービスで買えるようにして時間を節約させる

お客様を実際に観察してより具体的な課題がわかれば、ミルクシェイク屋として何をすればいいかもわかります。

御社の場合も、実際にお客様を観察することで「子供達の笑顔が見たい」というお客様が求めていることをより具体的に課題を把握すれば、ケーキ屋ならではの解決策が見つかるのではないでしょうか?

 

 

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ネットにノウハウを書くと盗まれるのか?

 

こんなことをいう方に時々出会います。

「ネットにノウハウを書くと知識を盗まれる。だから、書かない」

これは本当に正しいのでしょうか?

知識には「形式知」と「暗黙知」の2種類があります。

形式知は言葉にできる知識のこと。暗黙知は言葉にできない知識(経験知など)のことです。
たとえば言葉でいくら説明を受けて本で勉強しても、人は泳げません。プールに入り、水に浮き、息継ぎやバタ足を実際に経験して泳げるようになります。

このように知識は氷山のような構造になっています。形式知の下に目に見えない膨大な暗黙知があります。

冒頭の話に戻ると、ネットで書ける知識は形式知です。
どんなに言葉を尽くして親切丁寧に書いても、自分が持つ知識の一部しか書けません。

しかしネットで知識を共有すれば、それを学んだ他の人の反応で新たな知識を得て、自分の知識は増えます。新たな形式知を学べば、自分の暗黙知も増えていきます。

さらに知識を共有すれば、それは相手の方にとっても役に立ちます。

自分の知識はどんどんと共有した方が、結局は、相手にとっても自分にとっても、そして社会にとっても、得なのです。(言うまでもないことですが、機密情報や未発表製品の詳細情報は、この話の対象外です)

ですので私も、ブログやメルマガでどんどん学んだことを発信しています。

 

 

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時短ビジネスが最強

世の中を見ていると、ヒット商品には共通点があると感じています。

「時短ニーズをうまく掬い取っている商品が売れている」

たとえば…

■ロボット掃除機
共稼ぎ夫婦が増えて、自宅を掃除する時間が取れずに夫婦げんかをする家庭もあるとか。これも「掃除する手間と時間を減らしたい」というニーズに対応しています。

■パックご飯
日本人のコメ離れが進んでいます。この50年で一人当たりのコメを食べる量は半減しています。その中でパックご飯は20年で5倍に拡大しています。パックご飯はコメの6倍も高いのに、コメ離れが進む中で売れているのも、「炊飯器で炊く時間と手間がもったいない」という時短ニーズに対応したからです。

■SIXPAD EMSトレーニング
「太りたくない」「健康でありたい」と考えて、日々の筋トレを欠かさない人が増えています。でもトレーニングには時間がかかります。そこで電気刺激でいつでもどこでも、家事や読書をしながら筋トレするのがSIXPAD。さらにSIXPAD Stationというジムでは、わずか15分という短時間で全身の筋肉を効率よく鍛えるプログラムを行っています。これも時短ニーズに対応しています。

「時短に対応できないか?」という視点で今のビジネスを見直すと、大きなブレイクスルーがあるかもしれませんね。

 

 

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朝活勉強会「永井塾」第20回「リーン・スタートアップ」を行いました

本日10月3日(水)、第20回朝活勉強会「永井塾」を行いました。

いまや「調査→商品企画→商品設計→商品生産→販売」というこれまでの商品開発は通用しなくなっています。
そこで生まれたのが、「リーンスタートアップ」をはじめとする、「顧客開発」の方法論です。
ポイントは、顧客から学びながら商品開発をムダなく高速で進めることです。

そこで今回は、この「リーンスタートアップ」の考え方について30分間お話しし、30分間の質疑応答を行いました。

次回の朝活勉強会「永井塾」は11月14日(水)。11月18日に出版する新著「なんでその「価格」で売れちゃうの?」(仮題)で書いた価格戦略をテーマに行います。価格戦略を、マーケティング理論と行動経済学で考えていきます。

詳しくはメルマガでご案内していますので、参加希望の方はメルマガにご登録下さい。ご参加をお待ちしております。

安く売るのは、実は難しい

「なかなか売れないなぁ。じゃぁ、値下げしようか」

こう考える人は少なくありません。

確かに安く売って儲けている会社は、意外とたくさんあります。

たとえば、俺のフレンチ、ティム・ホー・ワン、ユニクロ、ニトリ。

しかし彼らは、安く売っても儲かるように、知恵を捻ってコストを徹底的に下げています。

 

たとえば俺のフレンチは、立ち食いフレンチでお客さんの滞在時間を減らして、お客さんが何回も入れ替わるようにすることで、お客さんの回転数を上げ、一方で原価率を徹底的に上げることで、薄利多売でも儲けるようにしています。

ティム・ホー・ワンは、安い価格で美味しい本格香港点心が食べられるように、スーパーで売っている食材を使い、レシピを徹底的に工夫しています。日比谷の店は、大行列です。

ユニクロやニトリはSPAモデルを実現することで、自社企画→製造→流通→小売販売を全部自社で行い、かつ店舗の数を増やして「規模の経済」「経験曲線」を追求して、低コストを実現しています。

安く売って儲けるのは、実は高等技術が必要です。安く売って儲けている会社は、そのために知恵を捻って、さらに努力を重ねています。

このような努力をせずに、「売れないから、値下げして売ろう」と考えて価格勝負をしても、長い目で見ればじり貧になるだけです。

 

価格をどのように考えていくべきなのか?

私たちは今一度、基本に立ち返って考えたいものです。

 

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