永井孝尚ブログ

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「顧客満足度調査」の現実

顧客満足度調査というと、お客様にこんな質問をして…

 サービス(あるいは商品)にご満足いただけましたか?
 □とてもよかった □よかった □まあまあ □よくない □とてもよくない

集まってきたアンケートを「とてもよかった=100点」…「とてもよくない=0点」で換算して集計し、点数を出すことが多いと思います。

さて、あるイベントでお客様の満足度が「90点」だったとします。

一見いい数字です。
でも、これは本当にいいのでしょうか?悪いのでしょうか?
またこの結果をもって、何をすればいいのでしょうか?
なかなかわからないですよね。

中には顧客満足度は高いのに、低迷する会社もあります。
「お客様のご満足は大切だ」と言いつつも、顧客満足度の調査結果に興味を持たないトップも、決して少なくありません。

こんな状況の中で考え出されたのが、NPS (ネット・プロモーター・スコア)という方法です。

NPSでは、次の2つの質問をします。

Q1:当社を友人や同僚に勧める可能性は、0〜10段階でどのくらいありますか?

  0 …まったく思わない
  ↓
  5 …どちらでもない
  ↓
  10 …非常にそう思う

Q2:その数字を選んだ理由をお教え下さい

この質問で、9と10を選んだのは「推奨者」、7と8を選んだのは「中立者」、6以下は「批判者」です。それぞれ次のように分けられます。

 ■推奨者(10/9)…再購入率が群を抜いて高い。他の客に推奨してくれる
 ■中立者 (8/7)…再購入率と推奨率は低い
 ■批判者(6以下)…否定的な口コミの源

その上で、以下の式でNPSというスコアを算出します。

 NPS =推奨者(10/9)の割合 − 批判者(6以下)の割合

なぜこのNPSが意味あるのでしょうか?
そのためには、顧客ロイヤルティ顧客生涯価値という考え方を理解する必要があります。

「お客様」にも種類があります。企業との関わり度合いに応じて、お客様は次のように変わっていきます。

 潜在客→見込客→新規顧客→リピーター→ご贔屓→ブランド信者

ブランド信者になると、顧客ロイヤルティが一番高くなり、その顧客が企業にもたらす価値である顧客生涯価値も一番高くなります。この顧客ロイヤルティを把握する一つの方法が、NPSなのです。

推奨者、中立者、批判者がわかれば、やるべきことは明確です。

 推奨者→増やす
 批判者→減らす

ここで役立つのが,二つ目の質問「その数字を選んだ理由」への答え。これが推奨者を増やし、批判者を減らすヒントになります。

しかし二つ目の質問への回答は未記入も多いものです。そこで批判者については、責任者がご本人と直接お話して、どのように不満を解消すればいいのかを話すことも必要になります。

推奨者が増えて、批判者が減れば、NPSも高くなります。
高いNPSは、企業にもメリットがあります。

 ・顧客離反率が下がり、既存顧客一人当たりの収益性が上がる
 ・口コミでよい評判が広がり、新規顧客が増えていく

逆にNPSがマイナスだと、企業は衰退していきます。

 ・顧客離反率が上がり、既存顧客一人当たりの売上も低下する
 ・口コミで「あそこはダメ」という悪評判が広がり、顧客はますます離れる

日本マクドナルドは、2015年から全店でこのNPSを把握しています。

マクドナルドは、KODOというスマホアプリでクーポン券を発行しています。この時、お客さんがNPSを入力するようにしています。このNPSは一貫して向上し続けています。(図は日本マクドナルド・2016年12月期通期決算発表資料から抜粋。2017年も向上し続けています)

拙著「売れる仕組みをいかに作るか トルネード式仮説検証」の執筆で、日本マクドナルドの下平篤雄副社長兼COOにお話しを伺った際、次のようにおっしゃっていました。

—(以下、引用)—

大切なのは店舗に「評価には一切使いません。お客様のコメントはよく見て、改善できるところはすぐ改善してください」と伝えたこと。

店舗もスコアは隠すことはしませんが、透明性を確保してオープンにしています。14万人のクルー全員がKODOを知っています。

店へのコメントはクルールームに貼り出して全員で見ていますし、お客様のコメントヘのご返事も、店内に貼っています。

お客様の印象そのものなので、必ずビジネスに結びつきます。

—(以上、引用)—

 

私も、最近の講演ではNPSを必ず把握するようにしています。

最近の講演や研修のご依頼理由を聞くと、「永井さんの講演を聞いた人から、お勧めがあった」と言われます。書評でも、友人や同僚・上司に勧められたという人が結構いらっしゃいます。推奨者の方々による口コミのおかげなのですね。

NPSは即効性はありませんが、長期的に取り組むことでアクションも明確になり成果に繋がっていきます。

活用していきたいものです。

 

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1本1080円のカレー専用スプーン

近所のデパートで、食器の展示販売会をやっていました。
ここで見つけたのが、一本1080円の「カレー賢人・サクー」というカレー専用スプーン。
前から欲しいと思っていたので即購入しました。

イマドキ、安いスプーンは100均でも買えますよね。
なぜこんなに高いのでしょうか。

実際にカレーを食べてみるとわかります。実に使いやすいのです。

このスプーンは左右非対称です。先端は斜めに緩いカーブを描き、カレーの具材をサクッと切るためにカーブの部分は2ミリほどナイフ状になっています。さらにこの部分は、皿に残ったご飯粒やカレーのルーもすくい取りやすくなっています。

いつもよりカレーを美味しく感じたのは、決して気のせいではないと思います。

このスプーンを生み出したのは、新潟県燕市にある食器メーカー・山崎金属工業に勤める若手の開発担当です。

「カレーの聖地」といわれる神田神保町に通い詰め、店でカレーを食べる様子を実際に観察したり、実際に話を聞きました。中にはマイスプーンを持ち込む人もいたそうです。

そこで気がついたのは、スプーンをナイフ代わりにして具材を切る人が多いこと。ここで得られた発見を元に開発したのが、このカレー専用スプーンだったのです。

新潟県燕市の食器メーカーは高い加工技術を持っています。だからカレー好きの要望に応えることができたのです。

このカレースプーンは2017年7月に発売すると、1080円にも関わらず3ヶ月で1万本売れる大ヒット商品になりました。

お客様が買いたくなるヒントは、常に現場にあります。現場でお客さんのことをつぶさに観察し、徹底的に考え抜くことが、お客さんを絞り込み、高い価値を生み出すことに繋がる、ということを、「カレー賢人」が改めて教えてくれました。

 

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朝活勉強会「永井塾」第17回「ブルーオーシャン戦略」を行いました

本日7月4日(水)、第17回朝活勉強会「永井塾」を行いました。

今回のテーマは「ブルーオーシャン戦略」
有り難いことに、わざわざ九州から参加の方もおられました。

ブルーオーシャン戦略は、既に一般用語になっている感があります。
しかしブルーオーシャン戦略は必ずしも一般的に理解されていません。
またブルーオーシャン戦略自体も進化していますし、誤解や批判もあります。

そこで今回はそれらについて30分でお話しし、30分の質疑応答を行いました。

次回の朝活勉強会「永井塾」は8月8日(水)。「ジョブ理論」というテーマで行います。
これは「イノベーションのジレンマ」で著名な経営学者クリステンセンが提唱しているイノベーションを起こすための方法論で、現在ベストセラーにもなっています。「(顧客が)片付けるべきジョブ=用事」を特定し、そのために自社の商品やサービスが「雇用」されるように解決策を作ろうという考え方です。

そこで次回はこのジョブ理論をテーマに考えていきます。

詳しくはメルマガでご案内していますので、参加希望の方はメルマガにご登録下さい。ご参加をお待ちしております。

 

 

 

分析麻痺症候群

10年ほど前に、前職でマーケティングマネージャーの仕事をしていた頃のこと。
当時の私は、社内の各事業部で策定したマーケティング戦略について、相談を受けていました。

その日も、ある事業部のマーケティング担当から、事業戦略の説明を受けました。
時間枠は30分。まず市場状況について15分。そしてその分析でもう15分話しています。
結局、数分オーバーで話を終えました。

私は質問しました。

「市場の状況と分析はよくわかりました。有り難うございました。ところで、あなたの戦略はどうなっているのでしょう?」

こう質問すると、話し終えたばかりのマーケティング担当がやや気色ばみ、(ちゃんと聞いていたんですか?)と言いたそうに、こう答えました。

「たったいま、お話しした通りですけど」

これは「分析麻痺症候群」と言われるものです。「市場のことは、完璧に理解しよう」と考えるあまり、膨大な時間を費やして情報を探しまくり、分析し、市場で何が起こっているかを把握しようとするのです。しかしそこでタイムオーバー。

本来必要なのは、「何をやるか?」です。
この人は「何をやるか?」を考えていないのです。
もし市場調査担当であれば、これは立派な仕事ですが、マーケティング戦略を策定する立場であれば、厳しい言い方になりますが、これでは何も仕事をしていないことになります。

お恥ずかしい話ですが、実はかく言う私も、マーケティングマネージャーの仕事を始めた頃は、この「分析麻痺症候群」に罹っていたことがあります。数週間かけて膨大なデータを入手し、分析するのですが、その先の「何をするか?」まで手も頭も回らないのです。

しかし本来の仕事は、分析ではありません。
本来の仕事は、戦略を立てて、実行し、成果を出すことです。
現代では、市場分析はすっ飛ばして、いきなり戦略を立てて、実行から学んでいくことが求められることすらあるのです。

分析し始めると、どんどんと深みに入るものです。
分析は分析で大切ですが、分析の泥沼には気をつけたいものです。

 

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時間貧乏の私を変えた、あるスキル

私は時間貧乏でした。20代の頃は残業自慢ばかり。月200時間の残業が続いた時期も、「いや〜、昨日も午前様で」とどこか自慢げでした。

「時間をかけて仕事をする=ビジネスマンの鑑」と考えていました。締切は守ってはいたものの、振り返ってみると自分のタイムマネジメントがまったく出来ておらず、常に時間に追われていました。

ですので、「忙しい」が口癖でした。
「忙」という字は、「心を亡くす」と書きます。
余裕もなかったのですね。

 

今はだいぶ変わりました。

締切は守る一方で、時間に追われることもなくなりました。相変わらず仕事は多いものの、決められた時間内で終えるようになりました。

編集者の方々からは「締切を守らない著者も多い」と聞きますが、私は必ず締切前に原稿を仕上げて送っています。ちなみに、お付き合いのある編集者さん達の多くは、ビジネス書担当です。ビジネス書の著者の多くがタイムマネジメントが出来ていないということなので、とても不思議な現象です…。(笑)

 

よく「どうやってタイムマネジメントしているのですか?」と聞かれることがあります。

これは「時間の見積もり力」のおかげです。

私は、タイムマネジメントに必要なのは、下記3つだと考えています。

①いま、自分はどんな仕事を抱えているのかを、把握する
②それらの優先順位(重要度・緊急度)を把握し、最優先のものから始める
③そして仕事完了にどの程度の時間が必要かを、把握する

多くのビジネスパーソンの方々を拝見していると、この①〜③を予め考えずに、漫然と仕事をしている方が多いように感じています。

まず①と②を考えるだけで、タイムマネジメント力は上がります。ただ①と②は要は決めの問題なので、比較的簡単です。

意外と難しいのが、③の「時間の見積もり力」です。

仕事は、細かい作業の積み重ねです。ですので行うべき仕事や作業がある場合には、

「この仕事は3日かかる」
「この作業は1時間必要」
「この作業は10分」

と予め見積もるわけです。

しかし予想外のトラブルが起こったり、緊急の仕事が入ったりします。こうなると1日で仕上げる予定が、3日かかったりします。

前もって仕事時間を見積もり、実際にやってみて、事前の見積もりと比べて、なぜ差が出たのかを考える、ということを繰り返していくと、「時間見積もり力」は上がっていきます。

さらに若干の余裕(バッファー)を取ることも必要です。

 

タイムマネジメントは、あらゆるビジネスパーソンに共通のスキルです。

さらに仕事でタイムマネジメントが出来るようになると、プライベートも充実してきます。

タイムマネジメントの中でも「時間見積もり力」をつけることは、より豊かな人生のためにも、必要なことだと思います。

 

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