永井孝尚ブログ

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夜学永井塾・第3回「顧客を考える」を行いました

昨晩は、第3回の夜学・永井塾。
テーマは「顧客を考える」でした。

顧客の理解は、ビジネス戦略の出発点です。
私たちはいつも「お客様を大切にしよう」と耳にタコができるほど言われています。
しかし現実には「お客様とは何か」「どのようにお客様を把握すればいいか」を体系的に学んだことがある方は、少ないのではないでしょうか?

たとえば、

・「押しあるのみ」と考えしつこく売り込みし、お客様が離れてしまう
・アンケート調査をしたこともなく、お客様の満足度がわからない
・調査しても、結果をどのように検証し分析してよいかがわからない

そもそも「お客様とは何か」を体系的に理解することが必要です。

そこで今回の夜学・永井塾では、下記をテキストにして、お客様について学びました。

「顧客ロイヤルティのマネジメント」(フレデリック・F・ライクヘルド著)
「ネット・プロモーター経営」(フレデリック・F・ライクヘルド著)
「パーミッション・マーケティング」(セス・ゴーディン著)

今回もワークショップを行いました。参加者の半数はネット参加でした。いつも有り難うございます。

次回は8月21日(水)、テーマは「新規事業(1):シュンペーター/イノベーションのジレンマ/ジョブ理論」です。

参加希望の方は、こちらからどうぞ→ https://night-nagaijuku-04.peatix.com/

 

 

2019-07-18 | カテゴリー : night-nagaijuku | 投稿者 : takahisanagaicom

内部調整は最小限にして、一人一人が考え抜け

会社で、こんな光景をよくみかけます。

「社に持ち帰って検討します」
「一度みんな集まって、揉んでみたらどうだろう?」

よく見かける光景ですが、これが日本の長期低迷を生み出しています。

「内部調整はすべて無意味」という意味ではありません。組織がスムーズに動くために内部調整は必要です。

しかし内部調整自体は、新しい価値を生みません。「単なるコスト」です。コストなので最小限にする必要があります。

 

こういうと反論があるかもしれません。

「あの野中郁次郎先生も名著『知識創造企業』で、『ホンダは三日三晩、合宿で集まってワイワイガヤガヤ話し合って、組織として新しい知識を創造している』と言っていますよ。『内部調整は最小限にしろ』というのなら、あのワイガヤもやめろっていうことですか?」

確かにかつてのホンダはワイガヤを通して、組織としての知識を生み出しています。
しかしこれは「単なる内部調整」ではありません。
参加者一人一人に、徹底的に考えさせています。

「知識創造経営とイノベーション」(野中郁次郎/遠山亮子責任編集、丸善)で、本田技研で長年実務に関わった方が、ホンダ社内で先輩達から鍛えられた様子を論文で紹介しています。

・質問すると、必ず「あんたはどう思うのか?」と聞かれる
・答えられないと「自分の考えや予想もなしに、他人にモノを聞きにくるな」と追い返される
・一般的な意見を言うと、「お前の話、どっかで聞いたことがある話ばかりだな!」
・最悪の評価は、「あんたの話は、つまらねえなあ!」
・ユニークなことをいうと、「面白いこと言うじゃねえか。どこで思いついたんだ?」
・しかし本で読んだと言おうものなら、「なんだ、受け売りか!」と馬鹿にされる
・「昨日友人と新宿を歩いていたら」というような話は真面目に聞いてくれた

ホンダではこうして一人一人が考え抜くことを徹底する社内文化を持った上で、ワイガヤを行っています。
ワイガヤは単なる内部調整ではなく、一人一人が考え抜き、議論を闘わせる場なのです。

議論するのは確かにいいこと。ただし議論は単なる内部調整ではありません。
一人一人が真剣に考え抜いて議論することで、はじめて組織として新しい知識が生まれるのです。

単なる社内調整の問題は、時間と手間が膨大にかかる割に、何も生まないことです。
誰も自分のリスクで真剣に考えていないからです。
全員が満足する落としどころを探る調整だけが目的化し、新たな知識を生み出していないのです。

私は、日本企業が長期低迷から抜け出せない一因はここにあると思います。
単なる内部調整はやめ、一人一人が自己責任で、深く考え抜くことが必要なのです。

しかし一方で「深く考えている積もりですが、なかなか考えられません」という方もいます。

先のホンダの例のように、近道はありません。
近道あれば、既にみんなやっています。
ひたすら深く考え続けること。

一人で数年も続ければ、まったく違ってきます。

 

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折衷案は、最悪

私は企業様の研修やワークショップで、グループワークをしていただくことがよくあります。
1チーム5〜6名で課題を討議していただき、チームで解決策をまとめていきます。
最近、ここでお願いしていることがあります。

「折衷案はやめましょう。首尾一貫したベストな解決策になるように、チームで考え抜いて下さい」

複数人で意見がわかれるとき、人はつい相手の面子を考え、複数の意見を取り込んだ折衷案を作りがちです。
しかしこれは最悪な方法です。

戦略の第一人者リチャード・P・ルメルトは著書「良い戦略、悪い戦略」で、ミニコンピュータ最大手だったDECの戦略会議に参加した経験を紹介しています。当時のDECは低迷中。対応策を話し合う幹部の意見は分かれました。

「今後も使い勝手のよい製品に集中すべきだ」
「それはすぐコモディティ化する。顧客の課題にソリューションを提供すべきだ」
「なんといっても半導体技術がカギだ。半導体チップに本腰を入れるべきだ」

3人とも譲りません。苛立ったCEOはこう言いました。

「何とか意見をまとめろ」

結果、こんな戦略がまとまりました。

「DECは高品質の製品およびサービスを提供するために努力し、データ処理で業界トップを目指す」

耳心地は悪くありませんが、何をするのかよくわからない戦略です。
低迷が続きCEOは更迭されました。

悪い戦略は問題を分析せず、思考をサボり、選択を怠った結果、生まれてきます。
特に私たち日本人は相手との対立を避けるため、ホドホドで折り合って妥協した折衷案を好みがちです。

折衷案の問題は、解決すべき問題が不明確なまま狙いがボヤけて、戦力を集中投下できず、何も生み出さないまま貴重な時間が過ぎ、徐々にじり貧になることです。

折衷案はやめることです。

①問題から逃げず、解決すべき課題が何かを見極める。
②その問題解決のためのシンプルな基本方針を決める。
③その基本方針に沿った、具体的な行動計画を決めて、実行する。

これを首尾一貫し、徹底することです。
1990年代前半にIBMを救ったガースナーは、まさにこれを徹底しました。

①当時「IBMは図体が大きすぎ。分社化すべし」という意見が圧倒的多数。しかしガースナーは「細分化が進むIT業界で、全分野に通じているのはむしろ強み。問題はそのスキルを活かしていないこと。むしろ統合化を進めるべし」と見極めました。
②そして「顧客向けにオーダーメイドのソリューションを提供する」という基本方針を明確にしました。
③さらに基本方針実現のために、サービス事業・ソフトウェア事業を立ち上げ、他社製品の取扱いも始めました。

折衷案はやめ、徹底的に問題を考え抜き、解決策を選び抜く。
首尾一貫して考え抜くことが、必要なのです。

 

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朝活・永井塾 第29回「シュンペーターのイノベーション論」を行いました

今朝は第29回朝活勉強会「永井塾」。テーマは「シュンペーターのイノベーション論」でした。

世の中では「イノベーション」が大流行です。
現代のイノベーション論の源流は、100年前の経済学者・シュンペーターです。

シュンペーターは、次のように言い切りました。
「経済発展の原動力はイノベーション(革新)である」
「イノベーションとは、既存知と既存知の新しい組み合わせである」

現在の数多くのイノベーション論の源をたどると、このシュンペーターに行き着きます。
シュンペーターを理解することで、イノベーションの本質がわかるようになります。

そこで今回は、シュンペーターを題材に、イノベーションのあり方について考えていきました。

今回も早朝から多くの方々に参加いただき、感謝です。

 

次回の朝活勉強会「永井塾」は8月7日(水)。テーマは「ブランド戦略のポイント」です。
詳しくはメルマガでご案内していますので、参加希望の方はメルマガにご登録いただければ幸いです。ご参加をお待ちしております。

 

企画では「早さ」を見極め「速さ」を追求する

よい企画で大切なのは、「早さ」と「速さ」です。
しかし企画では、両者の意味合いは大きく違います。

 

企画で見極めるべきは、「早さ」(=タイミング)です。
まだ機が熟していない早過ぎるタイミングで新商品を投入してしまうと、失敗する可能性が高くなります。

たとえば私が著書を企画する際は、企画段階で市場よりも「半歩先」を狙うようにしています。
半歩先を狙えば、出版のタイミングでタイムリーな本になります。
これが「一歩先」だと、早過ぎてなかなか売れません。
企画段階で市場と同じタイミングだと、出版するタイミングで、その他大勢の著書に埋もれます。
企画段階で「半歩遅れ」だと、出版するタイミングで既にブームが去っていて売れません。

タイミングを見極めるのはなかなか難しいことですが、常に半歩先を狙い続け、数をこなすことで、企画が成功する数も増えていきます。

 

一方で、企画を立てて実行する際に必要なのが、「速さ」(=スピード)です。
せっかくタイミングを見極めても、企画と実行のスピードが遅いとライバルに遅れを取り、タイミングを逸する可能性が増えます。
スピード自体が、大きな武器になるのです。
ですので企画では常に企画と実行までを含めた「速さ」が求められます。

 

「早さ」を見極めた上で、「速さ」を徹底的に追求することが必要なのだと思います。

 

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