永井孝尚ブログ

ブログ一覧

理論を知っていることと、理論を仕事で使えることは、全く違う


マーケティング理論は、誰でも机上で学べます。
理解するのには少し苦労するかも知れませんが、知識として身につけることはできます。
これが「知っている」状態です。

しかしこれでは、仕事で使える状態になっていません。
残念ながら、この段階に留まっているビジネスパーソンは多いように思います。

理論を使えるようにするには、実際に自分の仕事に理論を当てはめて使ってみることです。
これが、実は意外と大変です。これまで使ったことがない思考方法を求められるからです。ちょうど脳内に全く新しい運河を作るのに似ています。

しかし実際に自分の仕事に理論を当てはめて使ってみて、実際に成果を出す体験をすると、次から使いこなせるようになります。

つまりいったん新しい運河を脳内に作れば、次からそこに水が通るようになるわけです。

私もマーケティングの仕事を始めて数年後に、ある事業戦略の立案と実施を担当した時、手探りで色々な人たちの意見を聞きながら、理論に沿って戦略を立てるのに1ヶ月ほどかかったことがあります。この戦略を2年間かけて実施した結果、大きな成果が挙がりました。これがきっかけでマーケティング戦略を立てるパターンを身につけることができました。

今では1時間程度の打ち合わせで、人の話しを聞きながら、コーチングの形で一緒に戦略を考えながら立てられるようになりました。

理論は、知っているだけでは何の価値も生みません。
価値を生み出すには、理論を仕事で使えるようになることです。
そのためには、実際に理論を仕事の実戦で使うことだと思います。

実際に仕事で理論を使って成功すればしめたもの。
一生使える、あなたの大きな武器になるはずです。

 

■当コラムは、毎週メルマガでお届けしています。ご登録はこちへ。

Facebookページでも、色々な情報がご覧になれます。

 

 

なぜ経営幹部は「要は、何なんだ?」と言うのか?

社内外を問わず、経営幹部へプレゼンしている最中に、こう言われた経験がある方は多いのではないでしょうか?

「で。言いたいことは、要は何ですか?」

予想もしなかった質問に、「そもそもは、ですね…」と詳しい経緯の説明を始めてしまい、ますます相手が「?」な顔をしてドツボに嵌まってしまう、という方も少なくないかもしれません。かく言う私も、散々そんな経験をしました。(お恥ずかしい…)

この原因は、経営幹部のことを勘違いしているからです。
多くの人はこう考えて、経営幹部へのプレゼンの準備をします。

「相手は偉い人だ。完璧に準備しよう」
「完璧を期すために、資料は詳細に」
「偉い人だから、すぐにわかる筈」

こうして情報がミッチリ小さい字で詰め込まれた、非常にボリューム感たっぷりのパワポ資料が出来上がります。

一方で、経営幹部はこんな状態であなたのプレゼンを聞いています。

(今朝からこれが8回目の会議だな。疲れたなぁ)
(この後は、役員会だっけ。社長にあの件を報告か。気が重いな)
(あの懸案も未解決だな。あの件も今日中にA部長に確認しなきゃ)

要は朝から仕事が詰まっていて、頭の中で様々な案件を抱えているワケです。
こんな状況で、みっちりと小さい字で書かれたボリューム感あるパワポ資料を見せられたら、どうなるでしょう?

(おいおい。こんなの見せるなよ。ちゃんと整理して見せてよ)

誰だってこう思いますよね。で、こう紳士的におっしゃる訳です。

「で。言いたいことは、要は何ですか?」

ここまでわかれば、解決策がわかると思います。
要はわかりやすく、伝えたいことが相手の頭の中にスーッと入っていくような資料を作ればいいのです。

そのためには資料を作る人が、ちゃんと情報を整理して、シンプルにする必要があります。たとえばパワポ資料を作る場合、

・最初にプレゼン全体で何が言いたいかを、箇条書きで4〜6行程度にまとめる。
 たとえば「問題点→その原因→提案(=解決策)→費用→経営幹部への要望」という感じです。
・その箇条書きに沿って、チャートの順番を見直す。
・不要なチャートを削除し、重複するチャートを一つにまとめる
・詳細すぎる情報(細かいデータ)は見せない。洞察とカギとなる数字だけ示す。
・チャート上の重複情報は一つにまとめる。
・テキストは28ポイント以上の大きな文字で、1行十数文字程度で書く

要は、情報を増やすのではなく、徹底的に削りに削り落とすこと。
目安としては、その業務を全く知らない家族に話しても通じるレベルまでわかりやすくすること。
こうすれば「要は何ですか?」と言われなくなります。

ちなみにアマゾン社内ではパワポは使用禁止。ワードを使ってA4で基本1枚(大がかりなプロジェクトだと6枚)でまとめるルールになっており、会議の冒頭は、全員がこの文書を読む時間だそうです。部下から毎日膨大な報告を受けるジェフ・ベゾスが「何を言いたい資料か分からない」と怒って、この方法を始めたと伝えられています。

経営幹部の立場に立って考えれば、「要は、何なんだ?」と言われることは少なくなります。

 

■当コラムは、毎週メルマガでお届けしています。ご登録はこちへ。

Facebookページでも、色々な情報がご覧になれます。

 

 

戦略で相手の面子を考え始めると、プロジェクトは失敗する

事業戦略で何よりも重要なのは、首尾一貫性です。

・事業では何を狙うのか?
・そのために顧客のどんな課題に応えるのか?
・その課題への解決策は何か?
・解決策を実現する商品やサービスをどのように提供するのか?
・顧客にどのように伝えるのか?
・顧客にどのチャネルを使って販売するのか?
・価格はどうするのか?

戦略ではこれらが首尾一貫していることが必須です。

筋の悪い戦略は、狙いが明確でなかったり複数あったりします。そして課題も明確でなく、各要素もバラバラ。こんな戦略は、まず失敗します。

往々にして筋の悪い戦略は、戦略を決める段階で、メンバーの面子を考え始めることで生まれます。全員の意見を取り込んで戦略を立てるのは最悪。狙いが複数あったり、曖昧になったり、本来は必要がない要素が入ったりします。

「一生懸命考えた仲間の面子を立てたい」という気持ち、痛いほど分かります。
しかし面子を立てて筋の悪い戦略になり、失敗するのは本末転倒です。

そもそも戦略を考える各メンバーは、「いい戦略を作るには、自分の案は喜んで捨てる」ということを腹から納得することが必要です。

そしてリーダーは「全員の案を平等に取り入れる」という安易な道は選ばず、チームで納得いくまで議論して考え抜き、複数案を元に最も優れた一つの案を生み出すことです。

ここで行うべきは、弁証法の「止揚」という考え方です。
ちょっと難しい言葉ですが、そのキモは決して難しいことではありません。

A案と反対のB案があった場合、妥協案を作るのではなく、徹底的に議論をすることで、より優れたC案を作り出すという考え方です。

たとえばこんな案があったとします。

A案:店舗をリニューアルして、新商品をガンガン売るべきだ
B案:今どき消費者はスマホで買う。店舗では売れない

これだとA案とB案は真っ正面から衝突してします。
そこで私たちは、ついこんな妥協案を考えがちです。

妥協案:店舗をリニューアルして新商品を販促するとともに、並行してスマホでも売る

これだと事業の戦力が分散されてしまいます。これが「筋が悪い戦略」です。

そこで妥協するのではなく、メンバーでA案とB案について率直に議論します。

「店はもう古いよ。新商品を店に置いても、結局店では買わずにスマホで買う人多いでしょ」
「でも、スマホだけでも限界あるよね。商品の実物を触らないと、お客さんは買わないし。店は必要なんじゃない?」
「あ、それなら店で売ることに拘らなければいいんじゃないの?」
「確かに。店はショールーム化すればいいのかもしれないよね」

現実にはこんなに簡単ではないでしょうけれども、本音でこんな議論ができれば、より優れたC案が出来ます

C案:店は商品を見せるショールームに徹して売らない。販売はスマホで行う

実際にこれを実現しているのが、電気自動車のテスラです。
テスラは1000万円以上の車もありますが、本を買う感覚でスマホで買えます。
実物はテスラの店舗で確認できます。

戦略で相手の面子を考えて、妥協案で安易に決めると、筋の悪い戦略が生まれ、プロジェクトは失敗します。
徹底的に議論をして考え抜きましょう。

 

■当コラムは、毎週メルマガでお届けしています。ご登録はこちへ。

Facebookページでも、色々な情報がご覧になれます。

 

 

やっとマーケティングの時代がやってきた?

数週間前、8月18日に日本経済新聞にこんな記事が掲載されました。

「ファミマCMOに足立氏 日本マクドナルドを再建 ポスト新設」

マーケティングを統括するCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)に熟練マーケター就任のニュースが、なんと7段抜き記事です。

一企業のマーケティング責任者就任が、まるで経営トップ就任並の扱いの記事。確実にマーケティングがビジネスの中心になりつつあることを象徴する出来事です。

「マーケティング」がここまで注目を集めた時代は、これまでなかったように思います。

2011年に「100円のコーラを1000円で売る方法」を出版した際に、担当編集者と「本のタイトルに『マーケティング』という言葉を入れると、ビジネスパーソンは『難しそう…』と敬遠して手に取らないので、『マーケティング』という言葉は外しましょう」と話し合っていたことを思うと、わずか10年間で隔世の感がします。

11月に出版する本は、この「マーケティング」という言葉をかなり前面に押し出した本になります。
果たしてどんな反応になるのか?
ワクワクドキドキです。

 

■当コラムは、毎週メルマガでお届けしています。ご登録はこちへ。

Facebookページでも、色々な情報がご覧になれます。

 

 

2020-09-29 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : takahisanagaicom

私たちは来年、2030年を迎える

今年3月からのコロナ禍で、私たちの暮らしは大きく変わりました。
「早く元に戻らないか?」という声もありますが、もうコロナ前には戻りません。
一旦変わった人の行動は、なかなか元に戻らないからです。
その理由は、逆説的な言い方ですが、多くの人がコロナ禍で「自由さ」を知ってしまったからです。

まず在宅勤務の自由さ。何よりも大きいのは通勤の不要さが消えたこと。
いまや在宅勤務前提を宣言した企業も増えています。

そんな中で、私の知人で地方に住まいを移した人もいます。
「毎晩、知人とオンライン飲み会ができて楽しい」とのこと。

オンライン会議もすっかり当たり前になりました。
「打ち合わせのために客先に移動していたあの時間は、何だったのだろう」と思ってしまいますね。

世界的な思想家であるジャック・アタリは、名著「21世紀の歴史」でこのように書いています。

「いかなる時代であろうとも、人類は他のすべての価値観を差し置いて、個人の自由に最大限の価値を見出してきた」

コロナ禍で「自由さ」を知った人類は、もうその自由さを手放さないでしょう。

そしてその自由さは、デジタルテクノロジーのおかげです。
コロナ禍により、デジタル化が一気に進みました。

今年5月、マイクロソフトのナデラCEOは決算発表で「この2カ月で2年間分のデジタルシフトが進んだ」と言っています。

またマネーフォワードの辻庸介社長は新聞のインタビューで「本来なら10年かかるはずの変化が1~2年で起こるくらいのインパクトをコロナがもたらした」と言っています。

給付金支給に多大なヒトモノカネと数ヶ月もの期間をかけ、「デジタル敗戦」を痛感した日本政府も、デジタル庁構想を進めています。
いま様々なビジネスが、一気にクラウド側にシフトし、そのスピードが加速しつつあります。

今年は2020年ですが、この1年で時計は10倍速で進んでいます。

「私たちは来年、2030年の世界を迎える」

このように考えると、私たちがいまビジネスで何をやるべきなのかが見えてくるのではないでしょうか?

 

■当コラムは、毎週メルマガでお届けしています。ご登録はこちへ。

Facebookページでも、色々な情報がご覧になれます。