永井孝尚ブログ

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過激な女性雑誌「美ST」から学べること

「美ST」という女性雑誌をご存じでしょうか?「びすと」と読みます。40代女性向けの美容雑誌です。

2017年8月号の表紙は、「これ、いったいどうやったら売れるんですか?」の表紙にもなっていただいた広末涼子さん。なんだか嬉しいですね。

私はdマガジンという雑誌読み放題サービスに入っているので、時間を見つけてこの雑誌を眺めることがあります。

50代男性の私が、この40代女性向けの美容雑誌を理由は、なんといっても過激で面白いからです。

とにかく言葉がキレています。

■ヒジのシワシワびろびろ
■頰にY字!ムンクジワ
■グレーやカーキ、煮しめ色の服を着ただけで5歳老け

40代女性のモデルさんの証拠写真とともに、恐怖で強烈な言葉のオンパレード。「ヲイヲイ、ここまで言うと、読者の40代女性から反感を買うんじゃないの?」とこちらがハラハラするほどです。

しかしこの本が人気なのです。
おそらく読んでいる女性の内面の言葉は、こんな感じなのでしょう。

(え〜?そういえば私、頰にムンクジワあるかも…。どうしよう〜?)
(げげ。ヒジのシワシワびろびろ。キャー、あるじゃん!気がつかなかった…。)
(あのお気に入りの服、5歳も老けちゃうの〜?ショック…)

それまでまったく気にもしなかった自分のリアルな美容問題が、過激な言葉とそのものズバリの証拠写真ともに、頭に焼き付き、気になってどんどん読んでしまうのです。

実際に美容業界でも「最先端のことが書かれている」と人気で、意識高い系の女性たちに人気だとか。

まさに「お客様の気がつかない課題」を、インパクトある言葉と写真でえぐり出しているのですね。
まず、問題点を認識していないお客様に、問題点を認識していただく。
そして、その問題点の解決策を提示する。

「美ST」から、まさに「お客様が買う理由」の作り方を学ばせていただきました。

 

 

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かね善様合同研修会で、講演しました

昨日2017年7月12日、総合食品商社のかね善様大阪本社で行われた合同研修会で、『お客様が買う理由を、いかに作るか?「ニーズ対応」から、「ニーズサキドリ」への変革』と題して講演いたしました。

かね善様のお取引先である食品メーカー様を中心に150名の方々がお集まりになりました。

食品メーカー様の事例を加えて90分の講演を行った後、30分の質疑応答を行いました。

質疑応答では、

・自社ならではの強みをいかに把握するか?
・最終消費者のニーズをいかにサキドリするか?
・新規事業をいかに立ち上げるか?
・お客様からの意見をどのように解釈すべきか?

という点を中心に、最前線で仕事をしておられる方々からご質問をいただき、お答えいたしました。

実は大阪は日本の問屋発祥の地です。このような場所で講演をする機会をいただき、本当に有り難く思います。

なぜ「炎上マーケティング」ではブランドを作れないのか?

「炎上マーケティング」が話題になっています。

最近もマーケティング業界で一目置かれるある大企業が、出張先の飲み屋での異性との出会いを男性目線で描いた動画を公開し、早速ネットで炎上、動画はすぐに差し替えられました。

ネットでは「不愉快」「気持ち悪い」という声が多くある一方、一部の男性からは「何が問題なの?」という声もあります。

「なぜわざわざお金をかけて不愉快なものを作り、炎上させるのか?」と思ってしまいますが、これは炎上させることで話題性を高め、商品認知度を一気に上げようという作戦です。こういうのを「バズらせる」と言ったりします。

 

ネットではネガティブなモノが口コミで一気に広がる傾向があります。

BuzzFeedの記事『サントリーのビールCM炎上の舞台裏 電通社員「炎上を狙うことがある」』によると、広告代理店からの提案で、炎上狙いで、あえて仕掛けることもあるようです。

「私たちの使命は、商品の認知を上げること」と考えている広告代理店の担当者にとっては、「お金をかけてプロモーションしたのに、誰もが無関心」という状況は、何としても避けたいところ。そこであえて炎上を仕掛け、一気に商品認知度をあげようとする。炎上させることで「認知度を上げる」という目的は達成できるというわけです。

広告代理店に限りません。「炎上でバズらせて、一気に認知度を高めましょう」と提案するコンサルタントも少なくありません。

これは本当に効果的なのでしょうか?

 

私はマーケティング的に見て、これは大きな問題だと考えています。

炎上させることで商品を認知するのは、主に不愉快になった人です。そういう人たちをいくら大量生産しても、価値を生み出しません。むしろブランドを大きく毀損します。場合によってはその商品ブランドだけでなく、炎上マーケティングを仕掛けている企業ブランドもダメージを受けます。

私は「ブランドとは鍾乳洞だ」と考えています。石灰水を含む1滴の地下水が長年積み重なって、あの巨大な鍾乳洞が出来上がります。

ブランドも同じです。「一滴の石灰水」が「一つの顧客満足」。ですからブランド価値を上げる方法は、石灰水を一滴ずつ滴らせるように、顧客満足を積み重ねることしかありません。

ブランド価値を高めるのは、本来地道な作業の積み重ねです。

 

現代の消費者は賢明です。
「炎上マーケティングでバズらせる」と考えて、不愉快な人たちを大量生産しても、ブランドを作ることはできません。

確かに認知度調査をすると、一時的には「その商品知っている」という人は増えるでしょう。一時的に商品は売れるかもしれません。

しかし「炎上マーケティング」を仕掛けることで、なによりも大切なブランドも焼失してしまうのです。

 

 

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朝活勉強会・永井塾 第5回を行いました

本日、朝活勉強会・永井塾を行いました。

今回のテーマは『残業ゼロを実現する「朝30分の仕事術」』。
最初に、6月に出版した『残業ゼロを実現する「朝30分の仕事術」』のエッセンスを講義形式でご紹介しました。

今回も、講義の後は、フリーディスカッション。参加された皆様から、仕事の生産性を高める上で困っていること、ご自身の取り組みなどをお聞かせいただきました。

皆様のご感想です。

■様々な業種の方のお話しが聞けて有意義でした。みなさん同じところで同じ悩みを結構悩んでいらっしゃるのだな、と色々とヒントをいただきました。

■紹介いただいた本を読もうと思います。朝の時間活用、インプット時間など、日々の生活時間も工夫したいと思います。他の参加者の話も聞けるので、理解・共感ができるのはいいですね。

■生産性を高める上で、コミュニケーションの改善のヒントが得られました。時間ポートフォリオについて、まず①インプットと徹底思考の時間を取りたいのですが、積み上がっている仕事を片づけるばかりで、なかなか実現できないのが課題です。

■いろいろな立場とお仕事の話しを具体的に聞けるので、面白い。・講義だけよりもいいと思いました。

■朝の活用は得意な方だと思っていたのですが、新たな発想を学ぶことができ、参考になりました。マーケティングから離れたテーマも面白いですね。

■異業種の方々や、色々な時間の使い方を聞くことができ、今の仕事にも参考にしたいことが多々ありました。朝活勉強会は初参加でしたが、今日のテーマが身近な内容だったことあり、楽しく意見交換できました。

■個人の生産性向上、組織の生産性向上を通じて、社会に貢献し、自分のプライベートを豊かにしたい。

皆様、有り難うございました。

 

第6回目は、8月2日(水) 7:20AMから行います。

次回のテーマは、「ライバルと同じ商品を売っているのに、高収益」

 

詳細はメルマガでご案内しています。

 

 

「顧客囲い込み戦略」は、賞味期限が切れている

多くの企業が、いかにお客様を囲い込むかを考えてきました。

しかし「顧客囲い込み戦略は、既に賞味期限が切れつつある」というのが、私の実感です。

 

 

たとえば航空会社や家電量販店のポイントプログラムは、登場当初はライバルを大きく差別化し、顧客囲い込みに絶大な威力を発揮しました。

しかし「ポイントプログラムは儲かる」とわかったライバルも次々と参入してきました。その結果、お客様の選択肢は増えていきました。実際に私も、ビックカメラ、ヨドバシカメラなど、様々な量販店のポイントカードを持っていて、その都度使い分けています。

こうなると、ポイントプログラムによる差別化は難しくなってきます。そこで一部の企業は、より高いポイントを付けることで差別化を図ろうとしています。これは値引き合戦そのもので、体力を消耗させていきます。

また研究によると、ポイントプログラムで実際に「ご贔屓」になる顧客は、意外と少ないこともわかり始めています。一方でポイントプログラムで溜まるポイントはいつかは商品購入で使われるわけで、企業にとってお客様に対する負債(=借金)です。この負債額は、ポイントプログラムで成功している企業ほど膨大な金額にのぼっています。

このために、ポイントプログラムそのものを見直す企業も出始めています。

 

同様に多くの業界で、顧客囲い込みのビジネスモデルの賞味期限が切れつつあります。

銀行のATMは、1台で車が買えるほど高価なもの。しかし多くの銀行は、自社ATMを何百台・何千台も展開してきました。預金者囲い込みのためです。自社ATM大量展開で預金者を集め、預金を獲得することが、銀行の勝ちパターンだったのです。しかしマイナス金利の影響で、今や銀行は集めた預金が収益を生めなくなり、苦しんでいます。

新生銀行は当初自社ATMを380台展開していましたが、セブン銀行と提携してATM運用を委託するようになり、ついに先日、本店の自社ATMも撤去しゼロにしました。新生銀行のATM使用料はタダですが、セブン銀行への委託手数料を払っても、自社で持つよりもコストが安くなるそうです。

かつては銀行の勝ちパターンだった「自社ATMで預金者を囲い込み、預金を集めて、収益を生み出す」というビジネスモデルも、既に賞味期限が切れているのです。

 

いまのお客様には色々な選択肢を持ち、それらを自由に選ぶことができます。そんな移り気なお客様を仕組みで囲い込もうとすること自体に、ちょっと無理がありそうです。

こちらが「仕組みで顧客を囲い込もう」と思っても、お客様は「でも、私は自由でいたいし…」と思っているのです。

そもそもあらゆるものに、賞味期限があります。かつては脚光を浴びていた顧客囲い込み戦略も、既に賞味期限が切れつつある、ということなのでしょう。

必要なことは、仕組みでお客様を囲い込んでつなぎ止めるのではなく、お客様の方が常に「ぜひここにしたい」と思っていただけるように、日々魅力的であり続けること。

常にお客様にとっての価値を高め続け、新たな「お客様が買う理由」を創り続けることが必要なのです。

 

 

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