1本1080円のカレー専用スプーン

近所のデパートで、食器の展示販売会をやっていました。
ここで見つけたのが、一本1080円の「カレー賢人・サクー」というカレー専用スプーン。
前から欲しいと思っていたので即購入しました。

イマドキ、安いスプーンは100均でも買えますよね。
なぜこんなに高いのでしょうか。

実際にカレーを食べてみるとわかります。実に使いやすいのです。

このスプーンは左右非対称です。先端は斜めに緩いカーブを描き、カレーの具材をサクッと切るためにカーブの部分は2ミリほどナイフ状になっています。さらにこの部分は、皿に残ったご飯粒やカレーのルーもすくい取りやすくなっています。

いつもよりカレーを美味しく感じたのは、決して気のせいではないと思います。

このスプーンを生み出したのは、新潟県燕市にある食器メーカー・山崎金属工業に勤める若手の開発担当です。

「カレーの聖地」といわれる神田神保町に通い詰め、店でカレーを食べる様子を実際に観察したり、実際に話を聞きました。中にはマイスプーンを持ち込む人もいたそうです。

そこで気がついたのは、スプーンをナイフ代わりにして具材を切る人が多いこと。ここで得られた発見を元に開発したのが、このカレー専用スプーンだったのです。

新潟県燕市の食器メーカーは高い加工技術を持っています。だからカレー好きの要望に応えることができたのです。

このカレースプーンは2017年7月に発売すると、1080円にも関わらず3ヶ月で1万本売れる大ヒット商品になりました。

お客様が買いたくなるヒントは、常に現場にあります。現場でお客さんのことをつぶさに観察し、徹底的に考え抜くことが、お客さんを絞り込み、高い価値を生み出すことに繋がる、ということを、「カレー賢人」が改めて教えてくれました。

 

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朝活勉強会「永井塾」第17回「ブルーオーシャン戦略」を行いました

本日7月4日(水)、第17回朝活勉強会「永井塾」を行いました。

今回のテーマは「ブルーオーシャン戦略」
有り難いことに、わざわざ九州から参加の方もおられました。

ブルーオーシャン戦略は、既に一般用語になっている感があります。
しかしブルーオーシャン戦略は必ずしも一般的に理解されていません。
またブルーオーシャン戦略自体も進化していますし、誤解や批判もあります。

そこで今回はそれらについて30分でお話しし、30分の質疑応答を行いました。

次回の朝活勉強会「永井塾」は8月8日(水)。「ジョブ理論」というテーマで行います。
これは「イノベーションのジレンマ」で著名な経営学者クリステンセンが提唱しているイノベーションを起こすための方法論で、現在ベストセラーにもなっています。「(顧客が)片付けるべきジョブ=用事」を特定し、そのために自社の商品やサービスが「雇用」されるように解決策を作ろうという考え方です。

そこで次回はこのジョブ理論をテーマに考えていきます。

詳しくはメルマガでご案内していますので、参加希望の方はメルマガにご登録下さい。ご参加をお待ちしております。

 

 

 

分析麻痺症候群

10年ほど前に、前職でマーケティングマネージャーの仕事をしていた頃のこと。
当時の私は、社内の各事業部で策定したマーケティング戦略について、相談を受けていました。

その日も、ある事業部のマーケティング担当から、事業戦略の説明を受けました。
時間枠は30分。まず市場状況について15分。そしてその分析でもう15分話しています。
結局、数分オーバーで話を終えました。

私は質問しました。

「市場の状況と分析はよくわかりました。有り難うございました。ところで、あなたの戦略はどうなっているのでしょう?」

こう質問すると、話し終えたばかりのマーケティング担当がやや気色ばみ、(ちゃんと聞いていたんですか?)と言いたそうに、こう答えました。

「たったいま、お話しした通りですけど」

これは「分析麻痺症候群」と言われるものです。「市場のことは、完璧に理解しよう」と考えるあまり、膨大な時間を費やして情報を探しまくり、分析し、市場で何が起こっているかを把握しようとするのです。しかしそこでタイムオーバー。

本来必要なのは、「何をやるか?」です。
この人は「何をやるか?」を考えていないのです。
もし市場調査担当であれば、これは立派な仕事ですが、マーケティング戦略を策定する立場であれば、厳しい言い方になりますが、これでは何も仕事をしていないことになります。

お恥ずかしい話ですが、実はかく言う私も、マーケティングマネージャーの仕事を始めた頃は、この「分析麻痺症候群」に罹っていたことがあります。数週間かけて膨大なデータを入手し、分析するのですが、その先の「何をするか?」まで手も頭も回らないのです。

しかし本来の仕事は、分析ではありません。
本来の仕事は、戦略を立てて、実行し、成果を出すことです。
現代では、市場分析はすっ飛ばして、いきなり戦略を立てて、実行から学んでいくことが求められることすらあるのです。

分析し始めると、どんどんと深みに入るものです。
分析は分析で大切ですが、分析の泥沼には気をつけたいものです。

 

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長野都市経営研究所様で、講演しました

6月12日に、NPO法人長野都市経営研究所(NUPRI)様で、『「ディズニーを超える」阿智村の挑戦に学ぶ  ~地域の強みを発掘し「コト」を提供する~』と題して講演しました。

長野都市経営研究所様は、長野市を中心に将来のあるべき姿を研究し、その実現に向けて提言・実践活動をしていく団体です。長野の企業経営者を中心に、各種研究部会と特別委員会によって組織されていて積極的な活動を行っておられます。

講演には長野市内に150名もの方々にお集まりいただきました。有り難うございました。

参加された皆様のご感想です。

■言葉では表現できないくらい感動を感じました。

■自身の課題に一方踏み出す機会となりました。

■非常にわかりやすい内容だった。

■ありがとうございました。仕事をしていく中での参考になりました。仮説検証を9割の方がしていないと言うことが頭に残りました。ワクワクするお話でした。

■確かに阿智村だけではなく、一般企業にも当てはまることが多かった。

■元気の出る講演、素晴らしかったです。ヒント・宝が満載でした。

■日頃、仮説検証が不十分であることを改めて面識しました。仕事の進め方を見直してみたいと思います。

■とても勉強になりました。

■今日はありがとうございました。自分の考え方がもっと素晴らしくなりそうです。

■外部視点を交えながら、社内地域の中で強みを見つめ直す機会とを作ることに挑戦したい。

■具体的で分かりやすかった。スタッフの皆様大変ありがとうございました。

■チャンスを掴むことが必要と思った。

■大変わかりやすいソフトな話し方で、時間が短く感じました。まずは本を読みます。

■大切な事は、つながっているんだなと思いました。今までいろんなことに参加し、大切だとそれぞれに感じていたことが、線となってつながった感じ。とても分かりやすいお話で面白かったです。

■本日は講演会ありがとうございました。色々なヒントをいただけました。

■大変わかりやすい有益な情報がいっぱい詰まった内容でした。声がとても聞きやすい。講演手順も参考になりました。有り難うございました。

■とてもわかりやすい論理と、はっきりした口調、具体例と論理化が、説得力があった。

■自社の強みを考えるという点から、自社の場合は…と考えながらお話しをお聞きしていました。仮説を立て、事実をもとに検証する。そしてそれを続けるということを、強く意識していきたいと思います。本日はありがとうございました。

■非常に勉強になりました。

■大変参考になりました。教育を売ることはとても難しいと感じておりましたが、学校の強みを理解し、組織を動かしてみたいと思いました。

■今の自身の現状と重なる話が多く、早速明日から実践していきたいと思いました。

■とてもわかりやすいご講演でした。

■マーケティング、仮説検証に関し、非常に勉強になりました。ありがとうございました。

■テンポがよく、わかりやすく、自分に当てはめて考えやすい話でした。早速実践していきます。ありがとうございました

■マーケティング基本的な考え方が学べました。ありがとうございました。

■非常にわかりやすい(=理解しやすい)ご講演でした。ありがとうございました。

■具体的な事例を織り込みいただき、話に実感がありました。意識は人が見えない。行動することが肝要と言うことに確信が持てました。

■考える→行動する→検証。失敗(挑戦)への概念を面白く感じました。

■学びが深くなりました。具体的な行動計画を立てられます。

■実例に基づき説得力があった。話がわかりやすく、組み立てもよく、引き込まれた。

■とても貴重な話をありがとうございました。仮説検証したいと思います。失敗をすることを恐れないで、挑戦したいと思います。

■自社でも抱える問題にメスを入れるヒントをいただけた。すべて上司でも部下でもなく自分に責任があることがわかる。問題起こして、ぶれないビジョンを確立していることが大切である。徹底して考えること。有り難うございました。

■「失敗を恐れず」という言葉をよく聞きますが、最初から成功することがなく、小さな失敗を繰り返して、その道へ進んでいくのだと感じました。貴重なお話、有り難うございました。継続は力なりですね。

■仮説検証のスパイラル、継続できるように社員とともに取り組んでいきます。本日はありがとうございました。

■非常に勉強になりました。自社の中に取り入れたいと思いました。

■「ビジョン」が大切。「人」が大切。「失敗」が大切。勉強になりました

■非常にわかりやすかった。

■とても参考になりました。

■楽しかったです。

■分かりやすかった。

■講演会のタイトル通り、阿智村が取り組んできたことがよくわかりました。学びの大切さ、実行結果、検証、新しい仮説を積み上げること。公民館事業にも取り入れてみたいと思います。

■初めて聴講しました。自社、社外でも仮説検証は耳にする機会が多い中、実際の事、やったこと、考えたことを知ることができてユニークで面白かったです。

■マジ、阿智村に行きたくなりました。商いはやっぱり「人」と実感した。

■阿智村だけの話ではなく、後半は様々な事例を交え(例:ルンバ)、わかりやすくかつ大変貴重なご講演をいただきました。また機会があればぜひ永井先生のお話をお聞きしたいです。

■「ディズニーを超えるってどういうこと?」という興味本位での参加でした。経済・経営といった面だと自分ではわからない話かも…と思いましたが、自分の仕事である福祉サービスの取り組みとしても、とても理解できる内容でした。

■元気が出ました。応用できると良いが、できることから始めています。

■現在、資産ビジネスの入り口にいます。なかなかうまくいかない店も多いのですが、「失敗は学び」と言う言葉で力をいただきましたので、モチベーション3.0で前へ進みます。

■自分が今やっている仕事にも活かしていこうと思える内容でしたので、ぜひ目標を立てて行動し、楽しみながらやっていこうと思いました。

■阿智村へ行きたくなりました。

■長野でワークショップをやりたい。

■タイトルから想像できないようなマーケティングの話だった。いい意味で裏切られた。聞いてるだけで話ではなく、自分に活かせることを考えて聞くことができた。

■強みと顧客への価値を考える必要性を改めて感じた。

■地域活性化に向けて検討していきたい。これからNPO法人を立ち上げるために役立った。

■阿智村の挑戦の話から、自分の会社に当てはめたらどうなるか考えていくプロセスが、大変参考になりました。強みを見つけることがいかに大切か。それをどう具体的に活かしていくか。

■わかりやすい話の内容だった。継続してことの大切さは改めて確認。地域に危機感が少なく、もう一度、今の日常を当たり前に思わず、見直していきたい

 

講演後は、長野都市経営研究所の皆様との懇親会もありました。

このようなご縁、本当に有り難いですね。

 

 

全然売れないお土産品。価格を変えたら即完売

米国にあるインディアン・ジュエリーの土産店でのお話しです。
この土産店では、インディアンのアクセサリーであるターコイズ(トルコ石)を売っていました。

来店客は多かったのですが、ターコイズは値段の割に高品質にも関わらず売れませんでした。
陳列を変えたり、店員に勧めさせたりしても効果なし。
頭に来た店主は(損していいから、全品処分しよう)と考え、「全部価格を1/2にして!」という殴り書きを売り場主任に残し、買い付けに出張。数日後、店に戻ると商品は売り切れていました。

しかし確認してみたら、売上がものすごく多いのです。
実は主任はメモの殴り書きを「1/2」でなく「2」と読み違え、倍の価格で売っていたのです。

これは社会心理学者ロバート・チャルディーニが、著書「影響力の武器」で紹介している逸話です。
何が起こったのでしょうか?

来店する観光客はみな裕福です。でもターコイズの知識はほとんどありません。よく知らないターコイズを買う場合は、「高い宝石は、高い品質」「安い宝石は、低い品質」という常識に基づいて考え、「これは安いから買うのを止めよう」と判断していたのです。

そして価格を2倍にした途端、「このターコイズは高品質なのだろう」と判断するようになり、売り切れたのです。

私たち日本人は、これまで「良い物を安く提供しよう」と考え、あまり価格戦略のことは考えてきませんでした。
しかし価格戦略はビジネス戦略そのもの。
行動経済学など、価格戦略で活用できる考え方も出てきています。

あらためて価格戦略について理解していくことが必要なのです。

 

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ウォークマンは、原価割れで売っていた!?

今月の朝活勉強会「永井塾」で、こんなご質問がありました。

「永井さんがお話しした、『これまで他社が300万円で提供していたサービスを、ムダを省いて5万円で提供するようにした』という事例がとても面白いなと思いました。でも、なんで3万円とか10万円でなく、5万円なのですか?」

ご指摘の通り、新商品や新サービスで悩むのは、価格ですよね。

ここで大切なのは、「値ごろ感」です。

ソニーが1979年に発売したウォークマンは定価32,000円でした。
実は原価は48,000円。最初は売れば売るほど赤字だったのです。

ではなぜ赤字なのに32,000円にしたのでしょうか?
この価格を決断したソニーの盛田昭夫さんの言葉が、「ソニー 盛田昭夫」(森健二著で紹介されています。

盛田は価格設定のツボについて語りはじめた。

「こういう全く新しい商品、見本も参考にするモノもない、こういう商品には〝値頃感〟というのが特に大切だ。このモノだったら、いくらなら売れるのか。モノには値頃感がある。ついでに言えば、どんないいモノでも『いいけど高い』、これは買わないよ。『高いけど、さすがだな』というのは買ってくれる。このニュアンスは、月とスッポンだぞ。値付けはこの呼吸が勝負なんだ」

結果、ウォークマンは1億台以上売れて、時代を大きく変えました。
大量生産により原価も大きく下がり、ソニーに莫大な利益をもたらしました。

当時のソニーは、このように価格を戦略的に考えていたのです。

『いいけど高い』
『高いけど、さすがだな』

似ているようで、この差は実に大きいのです。
これをわけるのが「値ごろ感」。

「コスト」と「価格」は混同されがちですが、全く違います。

「コスト」は「事実」。企業がコスト削減努力した結果です。
「価格」は「戦略」。考え方次第でいかようにも変えられます。

高く売るのも戦略ですし、コスト割れで売るのも戦略です。
そして価格戦略次第で、売れるのか、そして儲かるのかが決まります。

 

御社の商品には、「値ごろ感」があるでしょうか?

 

 

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嶋口・内田研究会で講演をしました

昨日5月22日の夜、嶋口・内田研究会で講演をしました。

六本木にあるマーケティング学会のオフィスに60名のビジネスパーソンの皆様が集まりました。
とても光栄なことに、尊敬するマーケティングの大家である嶋口充輝先生、内田和成先生も同席されました。

皆様のご感想です。実際に現場で仕事に取り組まれている方々のお悩み、大きいですね。

■商品企画のコンサルティングをしていますが、チームウェアの中で壁にぶち当たることもあり、その壁も必要なことなのだと改めて実感することができました。方法論であることはもちろんですが、心のケアになりました。すごい!またお話伺いたいです。

■どうもありがとうございました。日ごろから「あるべき姿」について考える機会は多いのですが、「仮説を持っているか」と言う点が私自身に投げかけられたように感じました。時折失敗が怖くなることがありますが、チャレンジしてみようと思います。子供たちに伝えるべき重要な要素だと感じました。

■ジャパネットさんの具体的なお話を聞けてよかったです。仮説とは難しいものと思っていましたが、「暑い日、チラシで売れる→暑い日にチラシを撒けないか」のようなことから深掘りしていけば良いと知ったことで、自分の中で仮説検証のハードルが一気に下がりました。

■様々な事例を交えながら具体的でわかりやすい、しかもテンポも良いお話をありがとうございました。書籍も購入させていただき、続きを学ばせていただきます。貴重なお話をありがとうございました。

■やる気が出ました。失敗を楽しみたいと思います。

■スピードを持って仮説検証していこうと思いました。

■失敗の蓄積、参考になりました。恥じる事はないですね。

■今よりもっと速く、もっと多く挑戦しようと言う気にさせられよかった。

■実手を交えたお話で、とてもわかりやすく、楽しく聞かせていただきました。

■納得した。

■やりたいことをすぐやるという習慣をつけることの大事さを再確認した。

■仮説検証の必要性、具体的な取り組み方法について、具体的なイメージを持つことができた。明日から早速自分のチームで実践してみようと思う。

■テンポが素晴らしい。ストーリーを立ててワクワクさせられた。事例も適度に盛り込まれ、ストーリーとマッチしていた。

■大変勉強になりました。ありがとうございます。何をやる際にもリスクを最初に考えてしまいますが、仮説を持ちながらある程度リスク(失敗)をとって進み出す方が良いには良いのではないかと感じました。またマツダの失敗大賞は取り入れても良いなと思いました。

■大変参考になりました。

■仮説ではないものを仮説と呼んでいた。仮説を立てることを学ばなければならない。

■日々の業務に役立つような内容が多かったです。

■とても勉強になり、仮説と実行の有用性を再確認できました。

■「売れる仕組みをどう作るか」の本を読んでいたので、期待が大きかったです。本の内容にプラスαの話を聞けてよかったです。

■実行したいと思います。

■面白いお話ありがとうございました。 参考になりました。

■仮説検証大切さ、失敗の再定義について、事例を交えてご説明いただきましたのでイメージしやすかったです。不安が先立ってしまいますがまずやってみようと思います。

■ずっと営業やってる中であまり決まった考え方に基づいて実行していなかったことに気づきました。ある部分は仮説を立て、ある部分は思いつきなど、行動を紐解くとバラバラとありそうです。基本的な姿勢としてやってみようと思いました。

■このアンケートもご自身の検証になると思いますが…。個々のエピソードは楽しいが「トルネード式仮説検証」の素晴らしさを伝えるには寄り道が多いような気がしました。(聞いてる側の能力不足もありますが)先に本体を説明してから、事例紹介するが持ってわかりやすいのでは?

■トルネード式仮説検証とは?継続的な活動が不可欠と認識しました。仮設抽出のロジックをもう少し具体的に伺いたかった。本を読み込んでみます。

■「リスクがわかれば、対策できる」と言う話が印象に残りました。この言葉が頭にあると挑戦しやすいと感じました。

■スピード。やはりスピードが基本と再認識。

■「どうしても自分だけが違う」「私の会社は特別だから簡単にいかない」と思いがちで、既にできることはやっているような気がしていたが、永井先生に例示されてみると何もできてないことを思い知らされた。明日から失敗を恐れず小さい行動にうつそうと思いました。

■若干既視感あり。内田先生の仮説思考など。

■テストマーケティング名目という新しい取り組みを実施していましたが、仕事の姿について方向性が間違ってなかったという事の再確認ができてよかったです。「失敗は成功の母」という言葉は、なかなかよい言葉だなと思いました。

■大変参考になりました!継続して取り組む。心の折れなさも必要かと感じました。

 

このような機会をいただき感謝です。

上司に承認をもらうのは、昼食後がオススメ

組織で仕事をしていると、上司の承認が必要なときがありますよね。社長でも、お客さんや取引先の承認がないと進まない場合もあります。

こんな時、不思議と昼食前に承認のお願いをすると、却下されることが多いもの。
逆に昼食後だとOKされることが多いのです。

これを実験で試した人がいます。行動経済学者でノーベル賞も受賞したダニエル・カーネマンが著書「ファスト アンド スロー」でこんな実験を紹介しています。

イスラエルで、8人の仮釈放判定人にある実験をしました。この8人は一日中、仮釈放申請書類の審査をしています。判定人たちには実験していることを告げずにデータを取りました。

平均審査時間は6分。仮釈放申請は「却下」が前提で、通常は許可されるのは35%。判定人には朝昼午後と三回の食事休憩があり、次々と書類がやってきます。(部下が持ち込む案件を一日中レビューしている多忙なマネージャーの仕事に、どこか似ている感じもします)

許可率の推移を見ると、各休憩直後が最も高く65%。そして次の休憩までの2時間で許可率は一貫して下がり続け、休憩直前はゼロ近くになりました。

『疲れて空腹になった判定人は、「申請を却下する」という初期設定に回帰しがちである』というのが実験チームの結論でした。

カーネマンは、『人間の脳には、直感で瞬時に判断する「システム1」と、論理思考で時間をかけて判断する「システム2」がある。システム2を維持するには、強い意志と集中力が必要。そしてシステム2はすぐに消耗してしまう』と述べています。

 

以前、あるコミュニティ運営チームにいた時、運営メンバーの女性で、打合せの際には必ずおにぎりやお菓子を人数分持って来る人がいました。この人がいるといつも打合せはスムーズに進みました。実はこの方のご主人は経営者。ご自分の実体験で、この仕組みを知っておられたのですね。

 

ということで、何が何でも重要案件を上司に承認してもらいたい時は、昼食後にするのがオススメです。

一つだけ注意点。このネタを上司にばらしてはいけません。ほとんどのマネージャーは「他の人はそうかもしれないが、私は空腹でも冷静に判断している」と自信を持っています。これは行動経済学で「自信過剰バイアス」といいます。ですので、逆に怒られて、却下されるかもしれません。(笑)

あなたが論理思考を必要とする仕事に集中する際にも、休憩充分な状態で臨むのがオススメですよ。

 

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マーケティング共創研究会で講演しました

昨日2018年5月17日、マーケティング共創協会様主催の「マーケティング創造研究会」で、『お客様が買う理由を、いかに作るか? 「ニーズ対応」から、「ニーズサキドリ」への変革』というテーマで講演会を行いました。

企業の実務ご担当の方々が50名参加されました。

皆様からのご感想です。

■マーケティング=顧客視点っていうことにとらわれていて、自社の強みを疎かにしていました。「新規商品=会社的に初めてやること」と思っていました。自社のことに目を向けていなかったのでこれからやりたいと思います。

■ニーズのサキドリ、参考に考えたいと思います。

■イメージしながら聴くことができたので、分かりやすかった。

■話がわかりやすく、基本的なことを奥行き深く語られていたので、理解を深めることができました。

■目からウロコの内容です。非常にシンプルに頭の中に入ってくる不思議な感覚です。

■事例があって分かりやすかったです。

■まさに今直面している問題にフィットしていたのでと、とても参考になった。

■具体的に成功例を出していただけて、わかりやすく、とても参考になる情報が散りばめられていました。よかったです。

■コーラの本は知ってましたか、とても良かったです。感動しました。阿智村、行きたいです。

■自分の会社、売り場に置き換えて話を聞くことができました。例えの話を聞きながらだったので時間もあっという間でした。阿智村に行きたくなりました。学んだことを実行していきたいと思います。

■事例を元にお話しいただけたのでとてもわかりやすかったです。

■自社の強みを起点として考えていくという考え方が、非常に参考になりました。ありがとうございました。

■大好きな本の著者のお話を聞けるとのことで楽しみにしていました。今日から仮説をしっかり立てて取り組みたいと思います。

■「失敗=学びという共有財産」という話がありましたが、小学校の時に担任の先生が「失敗をみんなの宝物」といつも言っていたことを思い出しました。 あの先生のおかげで、今でも失敗を恐れていない気がします。

■とても参考になった 社員にもぜひ聴いてもらいたい。

■やりたいことがやれるようにしたいです。

■非常に内容がわかりやすく引き込まれました。強み、ビジョン、仮説検証…わかってるつもりではあるけれども、ほんとにわかってるのか逆に不安になりました。あらためて見つめ直したいと思いました。

■仮説検証の部分、とても興味深く聞かせていただきました。

■ぶれないビジョンと強みを見いだすことが大切だがそれが難しいことに気づかされた。

■書籍が非常にわかりやすく、期待して参加しました。私はマーケティングに関わる仕事ですが、全く知識のない部署と仕事をする際の困難を解決するヒントが多く、ためになりました。

■ぜひ全社教育として、本日のセミナーをお願いしたいと感じた。

■「強みをまず考えていること」「小さな失敗を積み重ねる」。「こんな仮説検証はダメ」だとおっしゃった内容が、まさに当てはまると思ってしまいました。直したいと思います

■「強み」の大切さと、事業も商品もベースを作ることが今後につながることを、改めて実感しました。

■お客様のニーズをいかに探るか?仮説がお客様のニーズを満たすきっかけになること。大変勉強になりました。

■日ではあげてわかりやすい講義でした。また次回参加したいと思います。

■話し方、テンポ、非常に集中して聴講することができました。

■日々仕事をしていて、自分自身で忘れてしまっている意識を再認識し、気づくことができました。仮説→実行→検証→対応のサイクルの大切さを日々の仕事でも活かしていきたいと思います。その中で「強み」を理解し発揮していきたいと再度考えることができました。

 

最近、マーケティングの価値づくりのためには、「あるべき姿」を持った上で、仮説検証を愚直に繰り返すことが不可欠だと実感しています。引き続き講演や本などでお伝えしていきたいと思いました。

ご参加された皆様に感謝です。

 

 

 

ITmedia Executiveで出版記念講演を行いました

昨日2018年5月15日の夜、ITmedia本社で、「売れる仕組みをどう作るか?トルネード式仮説検証」の出版記念講演会を行いました。

企業の管理職の方々を中心に、多くの皆様にご参加をいただきました。
仮説検証は、やっているつもりでも、意外と回っていないことも多いのです。その勘所を、様々な事例でお話ししました。

皆様のご感想です。アンケートのスコアもあり得ないくらいよくて、ほぼ満点。私自身、驚きました。皆様、お悩みなのですね。

■明確な手法でわかりやすく実戦的だった。

■どうしても考えるフェーズに時間をかけたりかけがちなので、一石投じていただけました。

■阿智村の実例含め身近な案件を聞くことにより大変参考になった。自分自身のモチベーションアップにつながる講演であった。

■非常にわかりやすく身近な事例を含めて説得力のあるお話でした。永井さんの魅力に引き込まれました。

■本を購入させていただいて復習します。

■非常に納得の内容であった。

■テンポよくシンプルな内容も、多くのパワポで多方面からカバーされ、グイグイ引き込まれました。自分の仕事で本当の仮説にあたるものを立てているのか反省させられました。

■検証の大切さを再認識しました。

■スピード感を持って、失敗を恐れず、仮説検証をトルネードで検証することが大事!チーム作りの最中なので、非常に参考になりました。

■事例が豊富でわかりやすかったです。

■大変参考になった。

■大変興味深く聞かせていただきました。

■具体的な事例が面白かった。

■本を買って若手とシェアしていきます。

■新しい事業開発を行う上でも有効な手段だと思いました。

■さっそく学んだことを実践していきます。

■見やすいスライドと流れるようなトークでわかりやすい説明でした。知っていた内容もあったが、プラスの内容知ることができました。

■企業内の具体的な事例、企業内でのやり方などを参考になりました。

■非常にわかりやすかった。

■非常に面白かった。ありがとうございました。

 

ご多忙の中、多くの方々に参加いただきまして有り難うございました!

「婚約指輪は給料3ヶ月分」は価格戦略だった

「世の中にはなかった新商品を発売します。お客さんの引き合いも多いのですが…、値付けをどうしようか、悩んでいます」

こんなことで悩む方は少なくありません。

最初の値付けはとても大切です。
つい「お客さんに聞いてみようか」と思いがちですが、これはダメ。

 

参考になるお話しがあります。

黒真珠といえば、高級ジュエリーです。しかし最初からそうではなかったのです。

数十年前にある宝石商が買ったタヒチの珊瑚島で、黒真珠が採れました。宝石商は「これは売れるかもしれない」と考えましたが、当時真珠と言えば日本産の美しい白真珠が常識。「黒い真珠?色も形もまるで鉄砲の弾みたいだ」と言われていました。ガラクタ扱いだったのです。

品質改良に努めた末、ニューヨークにいる旧友の宝石商に相談しました。彼のアドバイスで、店頭のショーウィンドウに並べて、同時に豪華グラビア雑誌に全面広告で、黒真珠のネックレスがダイヤモンドとルビーのブローチと一緒に光り輝いている写真を出しました。

すると、ニューヨークのセレブたちが黒真珠を付けるようになったのです。「黒真珠は高級ジュエリー」と認知され、世界に広がりました。

 

世の中にまだ認知されていない新商品の価格が高いのか安いのか、お客様は判断できません。

こんな時に「いくらだったら買いますか?」とお客様に聞くのは、愚の骨頂。必要なのは私たちが主導権を持ち、価格の基準を決めることです。

 

ちなみにこの基準のことを、行動経済学では「アンカリング」とも呼びます。アンカーとは船の錨のことです。大きな船がアンカーでつなぎ止められるように、私たちの心の中にも基準が作られてしまう現象が、アンカリングです。価格戦略を考える上で、アンカリングを理解することはとても大切です。

 

身近な例でもう一つ。

「婚約指輪は月給の三ヶ月分が目安」といわれます。実はこれ、冠婚葬祭の常識ではありません。高級宝石を扱うデビアスが、マーケティングプロモーションで作ったメッセージです。

婚約指輪の客観的な価格は、そもそも存在していません。そこでデビアスが、基準を作ったのです。新婚カップルにとって「給料3ヶ月分」が婚約指輪の価格の基準になりました。価格戦略とプロモーション戦略を組み合わせて、大きな成果を挙げた事例です。

ちなみにこのプロモーションが行われたのは1970年代から1980年代後半。でもいまの若い人も知っています。最初に価格の基準が出来ると、それはなかなか変わらない、ということですね。最初の価格はとても大事なのです。

郷ひろみが1987年に二谷友里恵と結婚した際に報道陣から婚約指輪の価格を聞かれ、「給料の3ヶ月分くらいです」と答えたのも、これが常識になる上で大きく影響しました。

 

商売が儲かるかどうかは、価格戦略次第。これまでになかった新商品の価格を決める時は、私たちが主導権を持って価格の基準を作っていきたいものです。

 

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朝活勉強会「永井塾」第15回『あらためて価格について考えよう』を行いました

本日5月9日(水)、第15回朝活勉強会「永井塾」を行いました。

今回のテーマは『あらためて価格について考えよう』。行動経済学の考えを取り入れながら、知っているようで意外と知られていない価格のナゾについて議論しました。

皆様のご感想です。

■アンカリングという言葉は初めて聞いた気がします。説明を聞き、価格戦略におけるアンカリングの重要性を理解できて良かったと思います。

■アンカリングを意識しながら価格を見つけたいと思います。

■アンカリングと言うキーワードを通して、シンプルに価格設定について考えることができました。化粧品のファンケルがアジア圏で高級ブランドイメージを作って売っていると言う話を聞いたことがあり、思い出しました。ブランドイメージに関するマーケティングをより深く知りたいと思いました。

■講義内容にポイントがまとめられていてとてもわかりやすかったです。

■とても参考になるお話をありがとうございました。より高い価値をお客様に感じていただくための付加価値を考えていきたいと思います。

■テーマに関するお話だけではなく、質問を通じて一人ひとりの課題解決のためにしっかりお答えいただけることがありがたいです。また他の方の質問の中にも、自分にとっての気づきのヒントがあり、参加してよかったです。

■価格設定は正解のない世界だということがよくわかりました。

■現在新サービスを企画中でこれから価格を決めていく予定です。アンカリングの議論が参考になりました。また参加させていただきます。

■何週間か前に、行動経済学に関する番組を見たばかりだったので、面白かったです。

■アンカリングの考え方は非常に納得でした。航空業界もLCC 対 フルサービスでお客様が感じていらっしゃる価値観が違い、サービスに対する期待度も変わると言う事ですね。

■競合他社、通販等と価格競争中ですが、付加価値をつけるということがどういうことなのか、探しておりました。今日はヒントをいただきました。自分たちの営業力を養う事は継続、各々がどのような営業展開していくかの面談も継続、次は付加価値をつけるための何かを考えます。

■ソニーの盛田さんがいらっしゃった時に、コスト割れでウォークマンを販売した話をお聞きし、凄いと思いました。価格決定にはお客さんの感覚を把握する力と、長いスパンで物事を考えていく力が重要なのだと感じました。

■価格がテーマなので楽しみでしたし、改めて営業としての責任を果たすに当たって気をつけなければならないと気持ちを新たにしました。当社では価格戦略は未だに浸透しておらず、説明する立場として他者を腹落ちさせるには良い材料を出ました。 この頃、あらためて自分の築いた人脈がいわば良い土壌となって、実りをもたらしてくれるようになってきました。楽しくかつ利益率の出るお仕事が、しかも残業せずにできています。自分の個性と戦略を両輪として今後もやっていきたいと思いました。

 

皆様、ご参加いただき有り難うございました。

 

次回の朝活勉強会「永井塾」は6月6日(水)。「戦略の基本、競争戦略について学ぼう」というテーマで行います。

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グリズリー熊に出会った、二人の登山者の話

ある登山者二人が山を登っていたら、熊に出くわしました。

相手は凶暴なグリズリー熊。獲物の二人を見つけると、徐々に速度を上げて、こちらに向かってきました。
一人はすぐにリュックを降ろし、ハイキングシューズを脱いで、ランニングシューズに履き替えました。
それを見て、もう一人が言いました。

「何しているの?熊はキミよりずっと速いよ」

すると彼は靴を履き替える手を止めずに、答えました。

「熊よりも速く走る必要はないよ。キミより速く走れればいいんだからさ」

これは、MITのジョン・D・C・リトル教授が1984年に論文で紹介した逸話です。

 

このちょっとブラックな逸話は、競争について大切なことを教えてくれます。

競争に勝つか負けるかは、ほんの半歩の差で決まります。

ちょうど登山靴のままそこから駆け出すように、とりあえずその場で必死に頑張るのも、一つの方法です。
しかしリュックを降ろしランニングシューズに履き替えたように、ちょっと知恵を出し、相手に半歩先んずれば、消耗戦を避けて、競争に勝てるのです。

どうすれば相手に半歩先んずることができるか?
常に考えたいものです。

 

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売上が増える値下げと、売上が減る値下げ

「なかなか売れない…。値下げしよう!」

会社でよく見かける光景です。でもちょっと待って下さい。本当にその値下げで売上が伸びるのでしょうか?

たしかに販売の現場では、

値下げする
→お得感をアピール
→買ってくれる
→万々歳

となりますよね。でもマーケティングの視点では、もう少し考える必要があります。値下げには2種類あるのです。

「売上が増える値下げ」では、値下げにより、買うお客さんが増えます。売れる商品数も増えて、売上も増えます。(市場全体で見ると、値下げしたことで需要が増えていることになります)

「売上が減る値下げ」は、値下げしても買うお客さんが増えません。「え?そんなことあるの?」と思うかもしれませんが、これが意外と多いのです。たとえばタイヤメーカーがタイヤを自動車メーカーに売る場合、いくらタイヤを値下げしても、自動車の売れる数にあまり影響がありませんから、タイヤが売れる数も変わりません。こうなると、値下げしただけ売上が減ることになります。(市場全体で見ると、値下げしても需要はまったく増えていません)

今売っている商品が、どちらなのかを考えることが必要です。

 

ただし、前者の「売上が増える値下げ」でも、ライバルと値下げ合戦が始まれば消費者はライバルも選ぶようになるので、一気に収益性が下がります。

たった1%値下げしただけで、営業利益が8%下がります。これは簡単な計算でわかります。
売値が1000円で、利益が120円だったとします。
ここで1%値下げして990円で売ると、利益は110円に減ります。
1%の値下げで、利益は120円から110円と、8%も減るわけです。怖いですよね。

お客様が買う時は、価格はあくまで一つの要素でしかありません。
「高いけど、どうしても欲しい」と思ったら、お客様は財布を開きます。

安易な値下げは行わず、いかに価格以外の価値をアピールするかが大切なのです。

 

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行列が絶えないパン屋と、行列がないパン屋

近所に、行列が絶えないパン屋さんがあります。

普通のパン屋さんは、コッペパン、フランスパン、あんパン、コロッケパン、カレーパンなど…、様々な種類のパンを揃えて売っていますが、ここは1種類の食パンだけ。通常の食パンサイズは432円、その倍のサイズは864円。この2種類のみです。

11時の開店前には毎日十数名の奥様方が行列しています。夕方まで営業していて、常に食パンを焼いているのですが、予約しないとまず買えません。毎日完売です。

先日テレビを見ていたら、この店が『奇跡の「生」食パン』として紹介されていてビックリしました。

実際に私も買いました。『奇跡の「生」食パン』というだけあって、焼かずに生で食べると、これがまたもの凄く美味しいのです。さらに翌日や翌々日になると。さらに熟成して美味しく生で食べることができます。

この店は、最高に美味しい単品の食パンで、味にうるさい奥様たちをトリコにしているのです。

 

実はこの近くに老舗のパン屋チェーン店があります。

先日通りがかると、同じコンセプトの生食パンが、まったく同じ値段で売られていました。「マイスターが心を込めて焼き上げた」とのこと。ただ店頭で平積み状態のまま。並んでいる人はいませんでした。

実際に買っていないので、もしかしたら美味しいのかもしれません。ただ売れないのは、「単なるコンセプトの真似」と思われている可能性もあります。これでは、味にうるさい奥様たちは引きつけられないかもしれませんね。

 

売れている商品を見て「これは売れる!」と考え、形やコンセプトだけを真似しても、本当の強みまではなかなか真似できません。仮にかなりの程度真似ができても、先行ライバルが成功しているほど、二番煎じと思われてしまう。

私たちも気をつけたいですね。

 

 

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出版記念講演会を行いました

4月19日、幻冬舎で「売れる仕組みをどう作るか トルネード式仮説検証」の出版記念講演会を行いました。

岡山や安曇野など、遠方からわざわざ参加して下さった方々もおられました。

有り難い限りです。

皆様のご感想です。

■本の内容をより深く理解することができました。報告書をまとめる際に本を参考にし提案していきたいと思います。

■仮説検証の重要性がよくわかりました。何度も出てきたパッションがカギであると思います。パッションの実現のための方法なのだと思いました。

■冒頭の環境分析や質疑応答が大変勉強になった。

■売れる仕組みについての説明とその後の質疑応答で議論が高まったと思います

■とても面白く惹きつけられた講演で、本の骨子が理解できた。具体的でわかりやすく明日から実行できる、と思えた。またこの本を通して日本にトルネード式仮説検証のトルネードを起こし、衰退企業を成長企業に変えていきたいと言う思いが伝わってきた。

■本の内容にプラスしてご自身の具体例や企業についてなどがあり非常に勉強になりました。事実に基づいて検証すると言うことで自分でも実践していければと思います。

■大変勉強になりました。3社の説明がとても分かりやすかったです。現在の仕事ではいろいろな課題を抱えていますのでトルネード色を実践してみたいと思います。

■本日は大変にありがとうございました。仮説検証はジョギングのようなものだったり、速過ぎてしんどいなどの話がありましたが、私はマイペースなので私のペースで進めていってみます。営業所のメンバーも速過ぎるととついて来れなくなってしまうので「継続」を目標にします。

■本の内容をわかりやすくまとめてお話しいただき、著者の言葉で聞けたので、本を最後まで読みたいと思いました。質問の時間に他の方のお話から学ぶことが多くありました。

■わかりやすく例を多く挙げていただき大変理解しやすかったです。

■現在数十名の製造業で、営業を1人でやっているのですが、直近の仕事に追われたり守りの考えでずっと仕事をしていたと思います。今回のセミナーに参加して、失敗を恐れずに常に挑戦することに気が付きました。今後少人数ではありますが仮説検証を実践していきたいと思います。

■改めて仮説検証がビジネスにおいて必要だということがわかりました。また考え方は私が考えてることとそれほど離れていないので本を読んでより深く理解していきたいと思います。

■具体的な3つの会社の話を聞けて参考になった。とても楽しいセミナーでよかったです。

■ご紹介ありがとうございました。事例を踏まえてとてもわかりやすく良い時間でした。ゆるいチームの話、永井流ファシリテーションの本を期待しています。

■永井先生、本日はありがとうございました。先生の本を読み始めてから、悩んでいたことが解決でき、こういう時間をいただき、ありがとうございます。ぜひ関西よりも西で開催いただければ嬉しく思います。

■永井さんの本を何冊か読まさせていただき、非常に興味を持ち、いちど直接話を聞きたく参加しました。期待通り非常に参考になりました。機会があればまた参加します。

■しつこい仮説検証家に続けることの大切さがよくわかりました。

 

皆様、有り難うございました。

 

 

一人一人が仮説検証する組織に変革し、成長するジャパネット

今月の日経「私の履歴書」はジャパネットたかた創業者・高田明さん。
大評判ですね。私も毎朝楽しみです。

いまジャパネットの経営を担っているのは、2015年1月就任した高田旭人社長。創業者・高田明さんのカリスマ経営から、全員で仮説検証を徹底する経営に大きく舵を切り、成長を続けています。

4月の新刊「売れる仕組みをどうつくるか トルネード式仮説検証」では、髙田旭人社長への取材内容を紹介しています。4月の朝活勉強会「永井塾」でもお話ししました。

その永井塾で、こんなご質問をいただきました。

先代がカリスマ経営者だと、どうしても先代のやり方を継ごうとしがちと思います。旭人社長が仮説検証を重んじるようになったきっかけは何でしょうか?

創業者の高田明社長は、天才的経営者。社員は明社長の言うとおりに動いていたそうです。 旭人さんは証券会社に勤めた後、そんなジャパネットに入社しました。

旭人さんは入社前から「なぜジャパネットは急成長しているのか?」と興味を持っていました。

社長室長として明社長の傍らで意志決定に接し、色々考えると、「なるほど、これは合理的に考えている。ロジカルだな」と感じることが多かったそうです。

ただ明社長は意志決定は速かったのですが、意志決定の理由を説明しませんでした。そこで旭人さんは10年間、社員に明社長の意志決定の背景を「通訳」する役割をしていました。

2015年に旭人さんが二代目社長に就任した時、こう考えました。

「先代社長と同じスタイルでは持続性ある経営ができない。社員全員が、自分で仮説検証を実践する組織に変えていこう」

それまで常に明社長に判断を求めていたのを、社員自ら考えるように変えるのでなかなか大変ですが、時間をかけて取り組んでおられます。

たとえば、かつては明社長が「Aで行く」といえば、それに従うやり方に慣れていました。今でも旭人社長に「ABCどれがいいですか?」と聞く社員が多いのですが、徐々に「私はAで行きます。理由はこうです」という社員が増えてきています。

たとえば最近ジャパネットが始めた「クルーズ旅行販売」のアイデアは、幹部社員から出ました。

日本一周クルーズでは、横浜港を出港、翌日に富山に着いて夜8時まで観光。翌朝には金沢に着いて観光。これが10日間続きます。船内の食事は食べ放題。そして、ジャパネットのお客様は年齢が高めで、旅行ではゆったりしたいはず。一方でクルーズ人口はまだ10万人であまり知られていません。

「これは行ける。ジャパネットでこの良さを伝えたら、売れる」と仮説を立てて、実際に売り始めたらすぐ完売。船を一隻丸ごと買い上げて拡大販売したらまたすぐ完売。このため第一種旅行免許も取りました。

一方で、先代社長が反対していたプロジェクトを始めているケースもあります。 たとえば明社長は「商品修理はメーカーに任せればいい。ウチの仕事ではない」という方針でした。 しかし旭人社長は、ジャパネットで修理業務をすることにしました。結果、ジャパネット社員も販売する商品のことがよくわかるようになり、メーカーに商品改良の意見を言えるようになりました。

先代の明社長の意志決定スタイルを全員に広げながらも、今の最新状況に併せて、意志決定の内容は変えているのです。

 

取材では髙田旭人社長とは初対面でしたが、不思議なほど意気投合しました。髙田社長が目指す方向と、「トルネード式仮説検証」で提唱している方向が同じだからなのかもしれません。

 

 

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「幼稚園児は、MBA修了生やCEOよりも優秀?」という話

「マシュマロ・チャレンジ」というゲームをご存じでしょうか?

4人一組のチームで、次の道具を使って、制限時間18分以内で、できるだけ高い塔を作り、てっぺんにマシュマロを乗っける、というゲームです。

マシュマロ1つ、スパゲティーの乾麺20本、長さ90センチの紐と粘着テープ

2010年、トム・ウージェックという人が、このマシュマロチャレンジについて、実に面白い結果をTEDプレゼンで紹介しています。

6チームが参加しました。結果は、

・1位は、建築家とエンジニアチーム。これは順当ですね。
・2位は、CEOと管理系役員チーム。これは指揮系統とファシリテーションの賜物です。
・3位は、何と幼稚園児チーム。
・4位はCEOチーム。以下、5位は弁護士チーム。最下位はなんとMBAを修了した直後の修了生チームでした。

幼稚園児が並み居る大人たちを圧倒しているのですね。

MBA修了生はどうやっているかというと、

・ゲームが始まると、まず4人で目的と課題について議論する
・最適な一つの解決策を求めて、設計して塔を組み立てていく
・制限時間18分の終了間際に、そっとてっぺんにマシュマロを乗せる
→しかしそこで全体が壊れてしまうことも多い。

MBA修了生の問題は、「正確な計画を作らなければ」と思い込み、計画に時間をかけすぎていること。
会社の中での仕事を考えてみると、身につまされることも多いですよね。

では、幼稚園児はどうやっているかというと、

・そもそも計画も、目的の確認も、解決策も、まったく議論しない。
・ゲームが始まると、マシュマロを一番上にのせて、どんどん作り、どんどん失敗を繰り返す。

「高い塔を作ろう」というシンプルな目標に向かって、試行錯誤を繰り返し、「あ、ダメだ」「じゃぁ、こうしてみよう」と夢中になって取り組んでいるうちに、大人たちよりもずっといい成績を残しているのです。

机上で色々と考えても、実際にやってみると間違っていることも多いもの。それならば、簡単に考えたことをサッサとやってみる。

シンプルな「あるべき姿」と素早い仮説検証

まさに「トルネード式仮説検証」です。子供たちから学べることは多いですね。

 

この「マシュマロチャレンジ」のTEDプレゼンは、下記サイトでもご覧になれます。7分程度の動画で、日本語字幕もあるので音がなくても理解できます。お時間がありましたらぜひご覧下さい。画面下の字幕アイコン(キーボードの形のようになっている部分)をクリックすると字幕が出ます。

 

 

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「上司がマイクロマネジメントで、困っています」

朝活勉強会「永井塾」で、こんなご質問をいただきました。

「『トルネード式仮説検証で、自発的に考え自由に動こう』ということですが、現実には、上司の中には、マイクロマネジメントが大好きでこと細かに指示しないと気が済まない人もいます。彼らにマイクロマネジメントをやめさせるのは、どうすればいいでしょうか?」

「マイクロマネジメントが好きな上司」…私も経験あります。何かしようとするたびに一つ一つ説明が求められ、「それダメ」「こうしなさい」とこと細かに指示があります。

マイクロマネジメントをする人にも、その人なりの理由があります。

たとえば過去、「ちょっと気になるけど、任せるか…」と考えていたら、やはり失敗。その経験で「やはり気になることは、徹底的にチェックしておこう」と考えるようになる人もいます。

つまりマイクロマネジメントな上司にも理由があり、実際にそれで成果が出ているから続けているわけです。そんな人にマイクロマネジメントをいきなり辞めさせるのは、ほぼムリです。

必要なのは、「ムリにやめさせること」ではありません。
「例外を認めさせること」。言い換えれば、「新しいことを、自由裁量で小さく始める」という例外ルールを認めてもらうことです。

「そうはいっても、ウチのマイクロマネジメント上司が、例外を認めてくれるワケない」

そう思いがちですが、今の時代、どの会社も「いかに新しい価値を生み出すか?」で悩んでいます。そのマイクロマネジメント上司も、例外ではありません。「現場が自発的に考え、自由に動くことで、新しい事業を生み出せる」ことをちゃんと納得すれば、例外を認める可能性も高いのです。

ちょうど「特区」と同じ考え方です。
厳しい規制の中では、新しいことはなかなか生まれません。
そこで公に規制では許されていないことを、特別に試行的に許す地区のことを「特区」といいます。日本政府も地域や分野を限定して「国家戦略特区」を作り、ここで多くの規制を大幅に緩めることで、経済活性化を図っています。(森本学園問題などでいい印象はないかもしれませんが、本来「特区」そのものは素晴らしい仕組みだと思います)

マイクロマネジメントな上司を変えるのではなく、特区を認めてもらうのです。

ちょっと大きな視点で考えてみると、社内の既存のやり方をすべて否定して、壊す必要はありません。確かに既存のやり方も問題があります。しかし一方で、機能している部分も多いものです。

企業の場合、既存事業から大部分の売上が上がっています。「すべてを変えよう」と考え、既存の仕組みを否定して壊してしまうと、企業として存続できなくなります。だから既存の仕組みはそのまま残した上で、その上でプロジェクトチームとして動かしてみることです。

ちょうど図のように、既存の仕組みの上に、新しい層を加えて、新しい層では別ルールを適用するイメージです。

プロジェクトチームを「特区」のように扱うことで、今の仕組みから新しい事業を生み出すことができるのです。

 

 

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やる気を失った元部長さんが活躍できる、即効性ある方法

朝活勉強会「永井塾」でこんな質問をいただきました。

当社は社員が高齢化していて、管理職も余っています。部下がいない元部長さんも多くて、やる気をなくしています。やる気をなくした方に活躍していただく上で、参考になる例はありますでしょうか?

この方は言葉を選んでおられますが、「成功体験の賞味期限切れを起こしている人をどうすべきか?」というご質問です。

実は即効性がある方法があります。
賞味期限切れを起こした成功体験でも、まったく違う場所に移ると、そこでは役立つ新しいスキルに変わることが多いのです。ですから社内で別部門に異動いただくことで、活躍できる可能性が高まります。

5年前に書いた「100円のコーラを1000円で売る方法 3」で、昭和の熱血営業マンだった清水元専務が、新しい営業変革に対応できずに、失意の中で駒沢商会を退社、外資系のガンジーネットに広報部長として転職した場面を描きました。清水元専務の「パッション一筋」という信念は、SNS上で若者から熱狂的に支持され、大活躍しました。これは清水元専務が持っていた営業としては賞味期限が切れた強みが、まったく違う場で花開いた例です。

これはフィクションですが、現実の世界でも同じです。

職場でも、「お客様第一主義」の営業部長が技術部門に異動してプロダクトアウトな製品作りをお客様志向に変革できるかもしれません。また逆に、「テクノロジー命」の技術部長が営業に変わることで、浪花節的な営業スタイルをロジカルな営業スタイルに変えられるかもしれません。

大切なのは、その異動の意味を、ご本人が心から納得するかどうかです。

実は私自身も経験しています。
私はマーケティング戦略の仕事を15年担当した後、人材育成の仕事に異動しました。事業本部長から「うちの事業部は、マーケティング戦略や営業戦略は徹底的にやった。人材育成はまだ不充分だ。事業部1000人の社員が、事業戦略に沿って動くようになって、生産性が20%上がれば、売上も20%上がるはずだ。だから事業戦略に沿って社員が動けるように、人材育成をして欲しい」と言われました。そして納得して、異動しました。人材育成はまったく未経験でしたが、マーケティング戦略で培ったスキルを活かして成果を挙げることができました。

このようにポイントは、異動する意味をご本人が納得していること。

本人が異動する意味を納得すれば、一見賞味期限切れした成功体験は、宝の山に変わるのです。

 

 

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白山市観光連盟様で講演しました

本日3月23日、石川県白山市にある白山市観光連盟様で、『「そうだ、星を売ろう」 阿智村から学ぶ『コト』発想への変革』というテーマで講演を行いました。

とても多くの皆様にお集まりいただきました。

皆様からのご感想です。

■「100円のコーラを1000円で売る方法」を読んでファンになり、今回参加しましたが、文章で読むのとはまた異なる印象を得ました。今回自身が永井さんのファンと言うことで参加しましたが、地域の方が多く参加されていて、今後もっと地域のセミナーに参加し、横のつながり作ることも大切だとも感じました。

■とても良いセミナーでした。「JTB武田さんとの出会いについて」の回答はよかったです。積極的に行動することの重要性が伝わる良い事例でした。

■危機意識や行動や志を推進していきたい

■経営理念はどんな場合でも共通点があり観光も経営をもとに成り立っていると思いました。

■とても良かったです。ドラッカーの言うやり方とよく似て面白かったです。

■とてもわかりやすかったです。本を読み返してきてよかった。とにかく行動ですね。

■大変勉強になりました。「恋のしらやまさん」とは関係のない企業からの参加でしたが一企業の企画担当者として自分ができることを少しずつ行っていき、地域一体となって盛り上がっていけるよう努力していきたい

■事業を実践していく上でのキモを学べたと思います。本日学んだことを活かして「恋のしらやまさん」のさらなる誘客に努めます。

■阿智村の事例から誘客を推進するためのたくさんのポイントを学ぶことができました。貴重な講演ありがとうございました。

■講演ありがとうございました。あっという間の2時間でした。「仕事=やりたいこと」を実現しようとを転職しました。思いをお客様にどう届けるか?強い後押しとなりました。

■わかりやすい内容であると同時に熱意が伝わってきた。

■勉強になりました。有り難うございました。本当の価値は「人」である、が考えと一致しました。正しい志、熱意が周りを変えていくのが共感しました。

■阿智村へいちど行ってみたいと思います。白山市の地域おこしの参考になると思います。

■非常に興味を持って聞かせていただきました。ありがとうございました

■これから強みについてさらに考えてみます。

■阿智村へ行って星を見たくなりました。「100円のコーラを1000円で売る方法」を一度読んでみたいと思います。行動や志が大事であるとのこと、最初の一歩が行動できれば思います。

■やはり「人」ですね

■大変分かりやすい講演であった。

■会社の意識改革で考えていることが当てはまり、合わせてその難しさも考えつつ、興味深くお話を聞くことができました。自分たちのイベントにも参考にしていきます。ありがとうございました。

■自分の会社の職員マネージメントに使えそうだと思いました。やはり人なんだなと感じました。

■とても興味深いお話で時間があっという間に過ぎました。「コト」を売るということは、自分の仕事にも大変役立つことなので、スタッフにも話して共通理解をしていこうと思います。

■次回機会があればブランディングの方法を教えて欲しいです。

■あるべき姿を目指すには危機意識に始まり現場の認識がポイント。ここから情熱ある少人数が無関心層動かしていくプロセスをいかに楽しみに変えていけるか、情熱というか「志」なんだなと感じています。

■「ビジョン」「こうありたい」という欲求がないと。「お客様の買う理由」を考えることが重要だということに今更ながら気づかされた

 

参加された皆様、有り難うございました。

現場の体験と強いパッションが、新規事業を生み出す

ヤマト運輸で「まごころ宅急便」というサービスがあります。65歳以上の要介護者向けに、地元スーパーが商品を揃えて、ヤマト運輸が届けるサービスです。配達時にはドライバーが体調を聞き取り、必要であれば関係各方面に連絡します。

このサービスが生まれたきっかけは2008年の岩手県。ヤマト運輸のある女性ドライバーの体験です。

担当地域に住む高齢者の女性に荷物を届けた時、いつもは笑顔で出てくるのに、その日は家の奥から声しか聞こえませんでした。しかし次の配達もあるので、そのままにしていました。

3日後、孤独死しているのが発見されました。

この時、女性ドライバーは「ひと言かけていれば救えたのでは?」と悔やんでも悔やみきれなかったそうです。

そして「二度とこんな思いはしたくない」「孤独死をなくしたい」との強い想いで、「まごころ宅急便」の事業化を提案しました。

社内では、

「儲かるのか?」
「そもそもヤマト運輸で行うべきことなのか?」

という反対もあったそうです。しかし、

「これはヤマト運輸だからこそできること。そして有料事業化するからこそ、次世代に引き継がれる」

という強い想いで、岩手県内で事業化にこぎつけます。その後、3.11の大震災で店舗がすべて失われて買い物ができなくなり、「まごころ宅急便」は他地区に広がりました。

今では各自治体と協定を結び、全社で取り組むようになりました。

これは、現場で日々現実と向き合っている人たちだからこそ、「コレやりたい!」という強いパッションを持って生み出せる事業です。

「低成長時代」と言われる現代ですが、現場には数多くの課題があります。
現場にいる人たちだからこそ、そんな課題が見つけられるはず。

そしてそんな課題に正面から取り組むことで、お客様の課題を解決し、新しいビジネスを生み出し、成長に繋がっていくのです。

 

 

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「今の仕組みは全然ダメ。破壊すべし」というご意見

こんなご意見を時々聞きます。

「今の会社の仕組みは全然ダメ。すべて破壊すべきだ」
「現経営陣は、全員入れ替えるべきだ」

たとえば第二次世界大戦では、旧日本軍の上層部は不合理な意志決定を繰り返し、負け戦を続け、日本は米国に惨敗しました。そしてすべて破壊された後に、高度成長が始まりました。

「今の仕組みが機能していないのだからすべて破壊すべし」というのは、一見正論に思えます。

しかし現実には、第二次世界大戦ですべてを破壊された日本は、昭和20年代前半に飢餓やハイパーインフレにより大混乱が起こり、日本国民はとても苦しみました。高度成長期はその後、朝鮮戦争特需がきっかけで始まりました。

破壊のデメリットは、とても大きいのです。

現実には、今の仕組みの上では今のビジネスが動いています。現行ビジネスを破壊してしまうと、会社そのものが破綻してしまう可能性もあります。

ちょうどターミナル駅のリニューアル工事と同じです。渋谷や新宿のようなターミナル駅では毎日何百万人も乗り降りしています。「これから1年間、工事のため駅を壊すので閉鎖」なんてやってしまうと、社会全体が大混乱になります。

会社の中で実際に現ビジネスに責任を持つ立場からすると、『「すべて破壊すべし」なんて言うけど、現実にそんなことをしたら大混乱だ』というのが、口に出せない本音ではないでしょうか?

組織は継続性も必要なのです。低迷した組織を「破壊すること」が自己目的化してしまい、さらに低迷してしまう事例は数多くあります。

問題は、今の仕組みが、新しい価値を生み出せなくなっていること。そして低迷する企業の多くが、個人の「コレやりたい!」という気持ちを活かせておらず(従って人材も活かしておらず)、仮説検証サイクルも回っていないことです。

ですので私は、むしろ今の仕組みは残したままで、まず小さなところから新しい取り組みを始めるべきだと思います。

たとえば「コレやりたい!」という強い気持ちを持った少人数チームに、予算や期間などの許容範囲を示した上で、自由意志を尊重して自律的なプロジェクト立ち上げを任せてしまう。

このプロジェクトでは仮説検証サイクルを高速で回し、試行錯誤を繰り返しながら、短期間での事業立ち上げを目指す。

この際、旧来型の管理ルールはすべて外す。ただし既存組織の仕組み(会計処理や業務システム)はそのまま使えるようにする。

そしてそのような取り組みを、様々なところで行う。

 

プロジェクトが成功し、新規事業に育つことで、既存ビジネスが徐々に置き換え変わっていくのです。

 

 

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朝活勉強会「永井塾」第13回『「売れる」仕組みを作る「トルネード式仮説検証」実践編』を行いました

本日3月7日(水)、第13回朝活勉強会「永井塾」を行いました。

今回は『「売れる」仕組みを作る「トルネード式仮説検証」実践編』。前回の基礎編を元に、実際にこの方法を行う際に、職場で直面する問題と対応策についてご紹介しました。

ちなみに今回から、大手町駅から徒歩数分という新会場での開催です。(便利になりました!)

皆様からは、こんなご感想をいただきました。

■前回からより具体的になりわかりやすかった。Q&Aで深掘りできた。次回の事例編が楽しみ。

■問題点で挙げられていた「議論しっぱなし」は組織でよく陥りがちな問題であり、解消するためには誰かがアクションプランを決めることをリードしなければならない。リードする人間にならないと物事を進めることができるビジネスパーソンになれないと思った。

■セミナーで学んだことを実際の仕事の現場で実施することは簡単なことではなく、しばしば挫折しますが、今回のように「実践編」として事例を示していただければ非常にありがたい。

■「人」のやる気を出させることは大切だと思うので、本人の納得があるとなしとでは違うなと感じました。異動の説明も、ちゃんと情を含めて配慮しないと、結果的に生産性は落ちますね。

■仮説検証の問題と対策がシンプルでわかりやすく、マネージャーとしての現業の進め方を見直す良いきっかけになりました。

■トルネード式仮説検証について、詳しくすることができ、良かったです。まずは新しい職場で、「思い込み」ではなく「仮説」を立てて、仕事に臨んでみます。

■もう少し具体的な事例、生々しい話をお聞かせいただけると嬉しいです。永井さんの社内試験のお話しは面白かったです。

■自分の部署で使いたい。

■現在の抱えている問題につながっている話で、大変勉強になりました。

■「問題と対策」で具体的な話を聞けて理解が深まりました。本の出版が楽しみです。

■いつも実例が多く、自分の置かれている現場に置き換えて講義が受けられるので勉強になっています。参加者の方々の質問も勉強になっております。

■前回のトルネード式仮説検証から、一歩踏み出して、いかに自分たちの仕事・ミッションと重ね合わせていくか、自分自身の課題も浮き彫りになったように思います、次回の事例編が楽しみです。

 

次回の朝活勉強会「永井塾」は2018年4月4日(水)開催。テーマは『「トルネード式仮説検証」事例編』です。実際に成長している企業3社のトップに、どのように仮説検証を社内で実践しているかをインタビューした結果をお話しします。規模も状況も異なる3社ですが、いずれも、個人の想いたパッションを大切にするとともに、事実も重視し、仮説検証から学び続けて成長していることがおわかりいただける内容になります。

詳しくはメルマガでご案内していますので、参加希望の方はメルマガにご登録下さい。ご参加をお待ちしております。

 

 

 

 

試験不合格は、あなたが悪いのではなく、回答を間違ったから

私はいつも「失敗から学ぼう」とご提唱していますが、講演でこんなご意見をよくいただきます。

『そうは言っても、失敗は怖いし、嫌なものです。「失敗から学ぶ」のは理想ですが、難しさも感じています。どのように考えればいいのでしょうか?』

誰もが「絶対に成功させる」という強い想いでプロジェクトに取り組んでいます。失敗して気持ちが落ち込むのは、人間として当たり前のことです。時には心が折れそうになることもあるでしょう。

ここで必要なのは、「失敗したのは、自分が悪いのではない」と考えることではないでしょうか?

失敗には必ず原因があります。
たとえば試験で不合格になったのは、自分が悪いからではありません。
試験の回答を間違ったからです。
だから間違った箇所を把握し、正しく回答できるようになれば、合格します。
「自分が悪かった」と自分を責めるだけでは、次も不合格ですよね。

できるだけ早く「自分が悪いのではなく、どこかに必ず原因がある」と気持ちを切り換えて、原因探しを始めることではないでしょうか?

原因探しを「成長の大きなチャンス」と考え、ゲーム感覚で楽しめるようになればしめたもの。そうして失敗を乗り越えれば、必ず成長します。

「あの人は失敗しても落ち込まない。楽しそうに再挑戦している」という人がよくいます。その人は、決して精神がタフなのではありません。失敗の捉え方が少し違うだけなのです。

その人も「絶対に成功させる」という強い想いでプロジェクトを進めています。しかし心のどこかで失敗を前提に考えて、「万が一失敗したら、こうしよう」と事前に対策も考えています。だから失敗からの立ち直りが早いのです。

 

 

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若い人の芽を育てるには、許容量を決める

朝活勉強会「永井塾」で仮説検証の考え方をお話しした後、こんなご質問をいただきました。

仮説づくりについて、質問です。自分はマネージャーですが、「若い人に余計なことをいうと、可能性の芽を摘んでしまうのではないか」と思っています。その辺りの「さじ加減」は、どのように考えればいいのでしょうか?

おっしゃる通りで、「経験が少ない」ことは必ずしも悪いことばかりではありません。

確かに経験が少ないと、経験者にとっては既知の落とし穴が見えず、失敗を重ねることもあります。
しかし経験が少ないからこそ、先入観に囚われず、斬新な発想で新しいことを始めることもできます。

ザッカーバーグが大学在学中に「女子生徒のランク付けサイト」を作り総スカンを受けて閉鎖し、そこから学んでFacebookの原型を作ったのも、江副浩正さんが東京大学在学中に「就職希望者と企業を広告で結びつけられないか?」と考えてリクルートを創業したのも、未経験だったからです。

既に過去の経験を蓄積した人にとっては、「それはダメでしょ」と思うことでも、時代が変わり大きな可能性があることが多いもの。一方で、既に失敗がわかっていることは事前に教えてあげたい。この狭間で悩んでいるマネージャーは少なくありません。

この方は、そのことを踏まえた上での質問です。

 

私は、1つの方法は「許容範囲を決めること」だと思います。たとえば、

「これだけの予算の範囲なら、自由に使っていいよ」
「いついつまでに、成果を出してね」

という感じです。

ある経営者に仮説検証をどのように実践しているかをインタビューした際に、こうおっしゃっていました。

「僕から見て『6割は間違っているな』と思っていても、本人が『6割は正しい』と思っていたら、『やらせよう』と判断します。チャレンジさせないと本人の成長はないからです」

この経営者はこの人なりの「許容範囲」を決めて、社員に任せています。

マネージャーの役割は、チームメンバーの力を増幅させ、組織として大きな力にすること。がんじがらめに管理すると、マネージャー個人の器以上のモノが出てこなくなります。

そのポイントの1つが、「許容範囲を決める」ことだと思います。

 

 

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あなたの「弱み」は、「強み」になる

 

ワークショップ後、こんな質問をいただきました。

『「強みを考えよう」ということですけど…。自分の弱みは沢山見つかるのに、強みなんて見つかりません。どのように考えればいいんですか?』

確かに「自分の強みガ見つからない」という人、とても多いのですよね。
実は強みと弱みは表裏一体です。どちらもあなたが持つ「資質」が生み出しています。

たとえば私は、事実に即して考えないと、どうもムズムズします。これが私の資質のようです。

マーケティング戦略を考える際には、現実的に考えますし、筋が悪い戦略に出会うと「この戦略の問題点は、コレ」、よい戦略に出会うと「この戦略はここが素晴らしい」と割とすぐに気がつきます。これは「事実に即して考えないとムズムズする」という資質が「強み」になった例です。

一方で若い頃は、この資質が弱みになっていました。

私は新卒で、日本IBMの製品開発研究所に配属になりました。研究所は機密保持のためにセキュリティ管理が厳重で、入口には守衛がいて社員証を一人一人チェックし、ドアというドアにはセキュリティバッジがないと入れないようになっていました。

入社数ヶ月後、地方の営業所に営業実習に行きました。研究所と違い、営業所は出入り自由。そこで営業実習日誌にこう書きました。

『今日、気がついたこと。営業所では、セキュリティ管理をしていない」

営業実習日誌は、営業所や所属部門の課長がチェックします。営業所の課長は「そんなことはない!」とやや怒りのコメント。数日後、私の上司から電話があり、「永井さん、ああいうことは書くものではないよ」。でも私はこう答えました。

「え?だってセキュリティ管理をしていないのは、事実ですけど」

これは「事実に即して考えないとムズムズする」という資質が「弱み」になっている例ですね。ちなみに「気配り」という言葉を覚えたのは、それからしばらく経ってからのこと。社会人としてはちょっと遅めでした。

資質を悪い面から見ると「弱み」になり、よい面から見ると「強み」になります。

ちょうど「火」の良い点が「ものを温める」、悪い点が「火事の原因になる」というのと同じで、本質的に人の資質は性質であり、「いい」も「悪い」もありません。

せっかくならば自分の資質に向き合い、「強み」を引き出したいものですね。

 

 

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浜松商工会議所様で、ワークショップを行いました

2月15日に浜松商工会議所様が主催された「浜松地域新産業創出会議」で、半日の「お客様が買う理由を、いかに作るか? 」ワークショップを行いました。(イベントのご案内文はこちら

浜松の企業様から、20名以上の方々が参加されました。

浜松は34年ぶりです。日本IBMの新入社員だった1984年、開発部門に配属された私は、ここ浜松で営業実習の機会をいただき、営業の先輩方について数週間お客様を回りました。思えば会社で「お客様」と初めて出会ったのが、ここ浜松でした。34年が経ってすっかり街の様子も変わっていました。

今回は、下記内容で進めました。

13:00-14:00 講義「お客様が買う理由をいかに作るか?」
14:00-14:30 ワークショップ「お客様が買う理由を作る」
14:30-14:45 (休憩)
14:45-15:45 各チーム代表から、ワークショップの成果発表
15:45-16:30 講義「お客様が買う理由を検証する」
16:30-17:00 質疑応答

皆様からのご感想です。

■敷居が高いと思っていたマーケティングの世界にようやく足を踏み込めた気がします!現状と照らし合わせて考えていけたので、とてもわかりやすかったです。早く職場に帰りたい!と、いい意味で思えました。いろいろとやりたいことが湧いてきました。有り難うございました。

■いいものを作っても売れないという疑問への解決方法のスタートが切れそうな気がしました。

■失敗の定義を変えるよう、社内でも働きかけたいと思いました。仮説検証のやり方を改めてみようと思いました。まずは実行!

■徹底的に顧客ニーズを理解すること。仮説を立てること(仮説と目標は違う)と検証すること。この2点は当たり前のようで、やはりできていないことを再認識し真下。今後、すぐにでも取り入れたいです。

■発表に対するアドバイス、有り難うございました。自社の強みを再認識して、ニーズとの組み合わせを変えていきたいと思います。

■徹底的に顧客ニーズを理解する。仮説を立てる。検証すること。など出来ていないことで再確認できた。今後すぐにでも取り入れたい。

■成果を出すため、重要な事を中途半端にしていた事に気づいた。

■自社の強みが自己満足の押しつけになっている事に気づいた

■「チャンスは雨のように降り注いでいる」意識レベルを高くし、チャンスを見落とさないようにします

■事前に本を読んでいたが、モチベーションの話やトルネード式仮説検証など載っていない内容も聞けてよかった。

■わかりやすくていねいな解説で非常に良かった

■始めはついていけるかと不安でしたがワークして行く上で理解が深まりよかった

 

ご参加いただいた皆様、有り難うございました!

 

 

 

間違いだらけの仮説検証。ダメな3パターン

「仮説検証に取り組みましょう」というと、こんな答えがよく返ってきます。

「仮説検証?そんなの当たり前にやっていますよ」

しかし実際にちゃんと仮説検証プロセスが回っているのは、驚くほど少ないのが現実です。

仮説検証プロセスは丸い円で描くことが多いのですが、実際にはらせんのようにグルグル回しながら、あたかもトルネード(たつまき)のように上に進化していくイメージです。

ダメなパターンでは、このトルネードが回っていません。大きくわけて3パターンあります。

■ダメ1:継続しない(1回しか回さない)

こんなパターンです。

「仮説検証、やってみましたけどね。ダメでしたね」
「何サイクル回しましたか?」
「1サイクル回しましたよ」

本来の仮説検証は、何回も回し続けることで学びが急速に蓄積していくもの。1回だけでは学びは溜まりません。

■ダメ2:やりっぱなし(半周しか回さない)

「100%完璧な計画を作ろう」とばかり、計画段階でプロジェクトの大部分のヒトモノカネを投入。根回しも完璧に実施。そしてやって実施します。しかし実際にやってみると問題百出。そこで計画を修正しようとすると、根回しした人たちから「話が違う」と言われたりしてなかなか修正できません。

■ダメ3:そもそも仮説がない(そもそも回っていない)

営業チームで前期の営業成績が悪かった場合の反省会がこうなりがちです。たとえば目標を10%下回った場合、こんな議論をするケースです。

「売上げ目標を達成できなかったのは、X社の案件落としたからだ。営業への指導を徹底しよう」

これは単なる反省会です。対症療法なので問題は再発します。そもそもの仮説がないからです。売上げ目標は仮説ではありません。「その売上げ目標をいかに達成するか」が仮説です。

 

本来の仮説検証はこうなります。

(仮説)現案件40件中、提案20件、成約10件を目指した。
(実行)提案30件、成約9件だった。
(検証)提案は5割増だったが成約が1割減。提案で課題把握が甘かった。
(対応)営業チームで課題把握の徹底を図ろう。

 

仮説検証をちゃんと回せば、問題を生み出している根本原因に近づくことができ、学びが確実に蓄積され、スピーディに成長していくのです。

 

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「義理チョコやめよう」というゴディバに、ブラックサンダーは?

2018年2月1日の日本経済新聞に掲載された1面広告。驚きました。

「日本は、義理チョコをやめよう」

あのゴディバジャパン、ジェームズ・シュシャン社長の署名入り広告です。
こんなメッセージが入っています。

 バレンタインが嫌いだ、という女性がいます。
 その日が休日だと、内心ホッとするという女性がいます。
 なぜなら、義理チョコを誰にあげるかを考えたり、
 準備をしたりするのがあまりにもタイヘンだから、というのです。
 (後略)

 バレンタインを、好きになってください。
 GODIVA

(実物の広告です)

2月14日に職場で義理チョコが飛び交うのは、もはや日常的な光景。
「チョコの会社なのに、立派な意見広告だなぁ…」と思っていたのですが、よくよく考えてみると、これは凄い差別化戦略だと気がつきました。

ゴディバは高級チョコレートです。
高価なゴディバは、本命チョコとして買われることが多いはず。

「義理チョコはやめて、本命チョコへ!」

実はこれがゴディバの狙いなのでしょう。”Share of wallet”(直訳は「(顧客の)財布のシェア」)という言葉があります。現代では、消費者の財布の中からどれだけ自社に使ってもらえるかが勝負。こう考えるとこの意見広告は、ゴディバのバリュープロポジションを周到に考え抜き、”Share of wallet”を最大化するための戦略なのですね。

 

「やるなぁ、ゴディバ」と思っていたら、さらに驚いたことが。

ブラックサンダーを製造・販売する有楽製菓の公式アカウント「ブラックサンダーさん(有楽製菓公式)@プレミアム義理チョコショップ」が、こんなことをつぶやいていてバズっています。

ブラックサンダーは、相手に「これって本命チョコ?」と誤解されるリスクは皆無。安心の義理チョコとして、ブラックサンダーならではのバリュープロポジションを考え抜いたメッセージで返すあたり、さすがです。

ターゲット顧客の心に響くメッセージをいかに発信するか?
ゴディバもブラックサンダーも、Share of Walletを獲得するためにバリュープロポジションを考え抜いているのです。

 

 

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あえて期待値を下げ、新ビジネスを生み出す

朝活勉強会「永井塾」で、こんなご質問をいただきました。

『永井さんはいつも、「顧客満足=提供価値−事前期待」といってますよね。
自分の業界ではお客様の期待値がどんどん上がり、現場での負担が多すぎるのが現実です。
「逆に期待値を下げて、顧客満足を高める」って、アリなのでしょうか?』

実はまさに最近、そんな経験をしました。

私は毎月、決まった理容室でカットします。まずカット数日前に理容室に電話して担当理容師さんを予約。「この日時がいいな」と思っても理容師さんがお休みのこともしばしば。数日後にカットします。軽くマッサージしてくれたり、洗髪や整髪料をつけたりして料金も結構します。1時間ほどかかります。行き帰りも1時間。

つまりサービスは、カット、洗髪(シャンプー・リンス・トリートメント)、整髪料、マッサージ。一方で私のコストは、数千円の料金+合計2時間の時間。手厚いサービスは料金に見合っているとは思いますが、「時間がもったいないなぁ」と感じることもしばしば。

ある日、近所にQBハウスがあるのを見つけました。ご存じの通り10分・1080円でカットしてくれます。
「技術はどうかな?」と思ったのですが、店の入口にある説明を読むとしっかりしているようです。
入口には緑・黄・赤のランプがあり、待ち時間もわかります。この日は黄色で待ち時間5〜10分。2名待ち。「ものは試し」と入ってみました。

まず自動券売機で1080円のチケットを購入。椅子に座り順番を待ちます。座った順番に散髪。場所取り不可という割り切り。店員は理容師さん2名だけなので順番管理はしていません。

すぐに私の順が来ました。以前カットした直後のスマホ自撮り写真を見せ「これでお願いします」。カットが始まりました。バリカン、はさみはすぐ手に届く所にあり効率的です。一通りカットが終わりスタイル確認。意外といい仕上がりです。この後、普通の理容室だと切った髪を洗い流すのですが、ここでは天井から下がっているエアシャンプーという強力掃除機で吸い取ります。ちゃんと吸い取り、切った髪は残りません。

12分ですべて終了。待ち時間込みで20分弱。

いつもの散髪と比べて数分の一の料金。しかも1時間40分も早く終わりました。
おかげでこの日、記事を一本余分に書けました。

QBハウスは「髪のカット」という理容室の本質的なサービスに特化し、カットに関しては必要十分な技術を持っています。そして「洗髪」「整髪」「マッサージ」「店員が待ち順番を調整」といった付随サービス(=過剰サービス)はすべてやめ、「レジ打ちする」作業も廃止、お客さんが自販機でチケット購入するなど徹底的に合理化しています。

さらに洗髪不要なので店の水回り工事が不要になり、出店コストを大きく下げ、出店場所の制約もなくなります。

QBハウスでは常にカット待ちのお客さんがいます。顧客回転数を上げて、数分の一の低価格でもビジネスが成り立っています。

2017年、QBハウスは独自性がある優れた戦略を実行し高い収益性を達成・維持している企業を表彰する「ポーター賞」を受賞しており、「投下資本利益率、営業利益率ともに5年間の業界平均を大幅に上回っている」と評価されています。→詳細はこちら

 

冒頭のご質問の通り、時代と共に、お客様の期待値は常に上がっています。
しかし同時に、時代と共に、お客様が不要と感じる過剰サービスもいつの間にか生まれています。それらについては、あえて期待値を下げてもいいはずです。

QBハウスは一見当たり前の過剰サービスを見直し、それらは顧客の期待値を下げ、「低料金で迅速なサービス」という新たな価値を提供しています。

 

あの旅館「加賀屋」も、かつては宿泊客が到着後、茶菓子・煎茶・浴衣・観光パンフレットと、客室係が一つ一つ、8回訪問して部屋に持ってきていました。1時間かかることもありました。「できるだけ部屋に伺い、お茶を差し上げるのが理想の接客」と考えられていたためです。しかし到着して早く温泉に行きたいお客さんにとっては過剰サービスです。そこで2017年から訪問は3〜4回程度に減らしています。(参考:日経ビジネス2018.1.22 特集『「おもてなし」のウソ やればやるほど顧客は逃げる』)

 

過剰サービスを見直すことは、新たなビジネスを生み出したり、既存ビジネスを強化するための切り口になり得るのです。

 

 

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「解決すべき問題?特にないけど」は、思考停止である

 「まず『解決すべき問題が何か?』を考えましょう」と言うと、こんなご返事が返ってくることが少なくありません。

「解決すべき問題?うーん、そんなの特にないけど…」

 これは、かなりヤバイ状況です。

「解決すべき問題」とは、「あるべき姿」と「現状」のギャップです。

この「あるべき姿」とは「こんな未来にしたい!」というあなたの想いでもあります。あなたがそのような想いを持っていれば、必ず「現状」との「ギャップ」が見つかるはずです。

これを絵にすると、こうなります。

もし「解決すべき問題?そんなの特にないけど…」と考えていたとしたら、それは「あるべき姿」のレベルが低すぎるのです。「思考停止状態」です。こんな人が多いと、組織は衰退する一方です。

ビジネスとは、「あるべき姿」と「現状」のギャップを埋める問題解決そのものです。次々と「解決すべき問題」が見つかる組織は、発展している組織なのです。

では「解決すべき問題」が見つかったら、どうすればよいのでしょうか?

「現状」と「あるべき姿」のギャップを埋めていくことです。
ここで役立つのが仮説検証の考え方で。仮説検証の出発点は、「あるべき姿」と「現状」のギャップ把握から始まるのです。

そのための方法論を「トルネード式仮説検証」と名付けて、次回2月7日の朝活勉強会「永井塾」でご紹介します。昨年11月の永井塾でご紹介した内容を、4月出版予定の新著にあわせて大幅にバージョンアップした内容になります。

ご興味がある方は、ぜひご参加下さい。当勉強会の参加方法は、メルマガでご案内しています。

 

 

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朝活勉強会「永井塾」第11回『質問大会』を行いました

1月10日(水)、第11回朝活勉強会「永井塾を行いました。

今回は、参加される皆様から事前にご質問をいただき、お答えするスタイルで進めました。

こんなご質問をいただき、個別にお答えしました。

■永井さんが起業に踏み切った経緯と、採算が取れると思った根拠はなんでしょうか?

■会社で仮説検証のテーマで講演することになりました。気をつけるべき点を教えて下さい。

■既存事業と新規事業の共存・両立について。会社の規模が大きいほど、社内起業は難しい傾向があります。社内新規事業の成否を分けるポイントや、「これはほぼ確実に失敗する」というパターンを教えて下さい。

■縦割り意識が強い組織を破壊するためのアクションについて。会社もトップが様々なプロジェクトを立ち上げていますが、兼務者が多く片手間になっているのが現実です。

ご参加下さった皆様、有り難うございました。

 

次回の朝活勉強会「永井塾」は2018年2月7日(水)開催です。次回テーマは『売れる仕組みを作る「トルネード式仮説検証」』。4月に出版する本の内容を事前に公開します。メルマガでご案内していますので、参加希望の方はメルマガにご登録下さい。ご参加をお待ちしております。

 

 

「健全な怒り」があるか?

講演で、こんなご質問をいただきました。

「永井さんが本を出版した経緯について、とても興味を持ちました。
本を書く原動力は、仕事の経験や読書から得られた知識なのでしょうか?
あるいは、思いついたアイデアが原動力になっているのでしょうか?」

確かに本を書く上で、知識やアイデアはとても重要です。

私の場合、自分のビジネス経験の棚卸し、色々な本を読みこんで理論の裏付けをとり知識を整理して全体の骨格を決め、アイデアを出しながら書いていきます。このように知識もアイデアも、本を書く上で重要です。

しかしそもそも本を書く原動力は、「これを書きたい!」という衝動、いいかえれば「健全な怒り」です。

「100円のコーラを1000円で売る方法」を書いた時には、「なんでみんな価格勝負をするんだろう?」が、その衝動でした。そこで、価値勝負する大切さや方法論を伝えようと考えて、知識を整理してアイデアを出しながら本を書きました。

 

この「世の中をこう変えたい」という「健全な怒り」を持つことは、とても大切です。

松下電器(現パナソニック)創業者の松下幸之助さんも100年前に、「(当時は)高価な商品を、水道の水のように、無尽蔵に安く提供すれば、極楽浄土がやってくる」と考えて、「水道哲学」を提唱し、大量生産・大量販売の時代に大きく成長しました。

現代では、自動の家計簿アプリで成長するマネーフォワードの辻社長が会社を立ち上げたのも、ソニーの経理部に所属していた時に感じていた、経理業務の面倒さに対する個人的な怒りがきっかけでした。

 

「健全な怒り」が、世の中を変えていくのです。

あなたは、「健全な怒り」を持っていますか?

今年、その「健全な怒り」をどのように解決していきますか?

 

 

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「成熟社会だから、現状維持でいいのでは?」

先日の朝活勉強会「永井塾」で、こんなご質問をいただきました。

「現代は、人口が減っている時代です。『常に変わり続け、成長していくべき』ということですが、『成長は目指さず、安定状態を維持する」という戦略に切り換える考え方もあるのではないでしょうか?」

確かに高成長が望めない今、「ほどほどで安定できればいい」とも考えたくなるのはよくわかります。
しかし実は、現状維持で安定するためには、変わらなければならないのです。

自分は変わっていないつもりでも、周囲は常にレベルアップしているからです。
自分が変わらなければ、周囲と比べると、相対的に衰退してしまうのです。

アップルは2007年にiPhoneを発表、スマホが本格的に普及し始めました。当時のiPhoneは革新的でライバルを圧倒しましたが、その後ライバルたちが登場。しかしアップルは常にiPhoneの機能強化を続け、出荷金額ベースでスマホ市場のリーダーであり続けています。もしアップルが2007年の初代iPhoneのまま何も変えていなければ、あっという間にライバル勢に追い抜かれています。

このようにライバルに圧倒的に優位でも、いつかは追いつかれます。周りの状況も変わり、必ず時代遅れになります。

だから現状維持するためには、常に変わり続けることが必要なのです。

絵にすると、こうなります。

常に変わり続けるか?さもなくば、衰退と死を受け容れるか?

成熟市場だからこそ、現状維持するためには変わり続けることが必要なのです。

 

 

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実験で始まり、実験で見直されるコンビニ24時間営業

24時間営業のコンビニは、もはや私たちの生活の一部。当たり前の風景です。

しかし、一部で見直しが始まっています。

日経ビジネス2017.11.27の記事『「未来のコンビニ」そろり始動」では、ファミリーマート(以下、ファミマ)の実験店舗で、午前0時〜5時の営業を休止し、一部商品を自動販売機での販売に切り換えている様子を紹介しています。以下、記事の抜粋です。

—(以下、引用)—

このような実験に取り組む背景には、人手不足と人件費高騰に対する危機感がある。沢田貴司社長は「現場負担の高まりを痛感している。深夜閉店への反論を(業界内で)よく聞くが、実験してみないことにはわからない」と話す。

—(以上、引用)—

この話を読んだときに思い出したのが、「そもそもコンビニの24時間営業自体、実験で始まった」ということ。

1974年にセブン-イレブン(以下、セブン)がコンビニを始めた頃、コンビニの営業時間は社名の通り朝7時から夜11時でした。この時期、世の中には24時間営業の店はほとんどありませんでした。そんな中でセブンが24時間営業を始めたのは、翌1975年。

当時、深夜まで遊ぶ若者や深夜労働者が増えていました。セブンは「夜中も営業すれば、客の利便性が高まり、売上が拡大するはず」と考えました。しかし当時の常識は今と逆で「深夜に営業しても、客が来るわけない」

そこでセブンは、24時間営業を実験して、本当に売上が拡大するかを確認しました。

場所は当時の店舗で一番北にあった福島県内の直営店。「条件が悪いところで売上が伸びれば、どこでも24時間営業が成り立つ」と考えました。結果は、日販売上は63%も上がり、1日の来店人数も700人強から1200人近くまで増え、大成功。その後、東京江東区や神奈川県相模原市での実験も同じ結果でした。そこで24時間営業を開始した。

1975年、コンビニ24時間営業は、セブンの実験により始まり、常識になりました。
そして42年後の今、今度はライバルであるファミマの実験により。24時間営業の見直しが始まっています。

 

常識をくつがえすようなアイデアを机上でいくら議論しても、なかなか正解には至りません。
それならば、サッサと実験でサクッとやってみて、検証した方がはるかに速いし、確実です。

 

皆さんがお持ちのビジネスのアイデアも、議論に時間をかけすぎずに、サクッと簡単な実験を行ってみれば、新たな発見が得られることが多いはずです。

 

 

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「嫌われる日本人」は、かつて高く評価されていた

先月末の産経新聞の記事「米のハイテク業界で嫌われる日本人 そのわけは?」が、話題になっています。一部引用します。

—(以下、引用)—

日本人が「嫌われている」のだという。米国のハイテク業界での話だ。先日、業界事情に詳しい企業幹部と話した際、最先端ベンチャーが集まるシリコンバレーや、先進的研究で知られる大学を訪れる日本企業に話題が及んだ。(中略)

ところが、日系企業関係者の訪問は「視察」や「情報収集」が主体で、事業への具体的な投資話に進まない。生き馬の目を抜く世界を生きるベンチャー経営者にとって、ビジネスに結びつかない時間がとられるのは「迷惑だ」というのだ。

米国に出向く担当者が、日本の本社から、投資判断や資金決済の権限を持たされていないので、当然の結果だ。そう分析する企業幹部は「『決断しない』日本企業の評判が業界に広まりつつある」と警告する。

—(以上、引用)—

この記事に対して、ネットでは「なんだかなぁ」「すごくわかる」「いまだに視察とか情報収集?」という意見が多く寄せられています。

実はこの日本人の行動、かつてかのドラッカーが高く評価していたことをご存じでしょうか?
ドラッカーの著書「エッセンシャル版 マネジメント 基本と原則」のp.150に、次のような一節があります。

—(以下、引用)—

…日本では、意志決定で重要なことは問題を明らかにすることである。そもそも意志決定は必要か、そもそも何についての意志決定かを明らかにすることが重要とされる。この段階でのコンセンサスの形成に努力を惜しまない。この段階にこそ、意志決定の核心があるとする。…

(中略)

アメリカでは、ライセンス契約の日本側の交渉相手が数力月ごとにチームを送りこみ、交渉のごときものを始めからやり直す理由を理解できない。一つのチームが克明にノートしていく。ひと月半後には、同じ会社の別のセクションが、初めて話を聞くという態度で克明にノートしていく。信じられないであろうが、これこそ日本側が真剣に検討している証拠である。

(中略)

こうして、われわれが決定と呼ぶ段階に達したとき、日本では行動の段階に達したという。日本では、この段階で意思決定の責任を「しかるべき人間」に任せてしまう。誰がこのしかるべき人間であるかを決めるのはトップマネジメントである。そして誰に任せるかによって問題に対する答えも決まってくる。コンセンサス形成のプロセスで、誰がどのような考えを持っているかが明らかになっているからである。

(中略)

日本流の意思決定は独特のものである。日本社会特有の仕組みや組織の性格を前提とするものであって、どこでも使えるものではない。だがその基本は、日本以外でも十分に通用する。それどころか、これこそ効果的な意思決定の基本である。

—(以上、引用)—

ドラッカーはこの文章を1973年に書きました。「日本人がコンセンサスを作るのは、問題を明らかにするため。解決策は担当者に任せ、トップは解決策に関与しない」というドラッカーの洞察は、実に的確です。

なぜ日本企業では、コンセンサス形勢に時間をかけ、仕事がスピーディに進まないのか?
なぜ個人が、なかなかリスクを取ろうとしないのか?
なぜトップが、不祥事が起こっても現場を掌握できないのか?

これらの問いに、まさに見事に答えています。
ドラッカーが「日本流の意志決定は、効果的な意志決定の基本である」と述べた1973年、確かにこれは日本企業の強みでした。

しかし40年以上が経過して、世の中が大きく変わりました。
激しい変化が常に起こるようになり、じっくりコンセンサスを取っていては遅れを取るばかり。
かつての強みは今や弱みに転じています。

問題は低迷する日本企業が、かつての強みが弱みになっているのに、40年前の意志決定方法を変えていないことです。

時代と共に、意志決定方法も、リーダーシップのあり方も、しなやかに変えていくことが必要なのです。

 

 

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一見ユルいチームが、爆発的なエネルギーを生み出す理由

講演を終えたら、こんなご質問をいただきました。

「今日のお話しで、『あるべき姿」と『解決すべき問題』が見えてきました。
 ぜひ社内で新たな挑戦を始めたいと思います。
 その組織づくりのアドバイスはありますか?」

ここで致命的な間違いをする会社員は、決して少なくありません。
「正式な組織を作らなければいけない」と考え、プランを作って、上司に相談するのです。
これは典型的な失敗パターンにはまります。

なぜか?

まず、会社で組織を作るのは、根回しや予算取りなど、意外と大きな労力が必要です。
しかしその労力にかけている間は、『解決すべき問題』は放置されたままです。

また会社で正式な組織作りをしても、『あるべき姿』を実現したいという想いを持つ仲間が集まるとは限りません。色々な「大人の事情」で異動せざるを得ない人が集まることも少なくありません。これでは強力なチームは作れないのです。

では、どうするか?

ユルく出入り自由のチームを作ることです。
まず『あるべき姿』と『解決したい問題』に賛同する仲間を見つけます。
そしてパートタイム感覚で、『解決したい問題』について話し合い、問題意識や方向性をすりあわせていきます。
「なんか違うからやめる」という人は、抜けてもOK。
「噂で聞いたんだけど、参加していい?」という人は、大歓迎。

「こんなユルくていいの?」と思うかもしれませんがOKです。
何よりも大切なのは、自発的でやる気があるメンバーが集まること。
このプロジェクトチームが、志を共有した強力なチームに育ち、爆発的なエネルギーを生み出すのです。

「日本一の星空」の阿智村も、「阿智村の地域づくりをしたい」という少人数の仲間が集まって始めました。

このように、ある目的を達成するために組織を超えて集まるチームのことを、「プロジェクトチーム」と呼びます。

世の中の変化が激しい現代だからこそ、志を同じくするメンバーが、組織を超えて柔軟に集まることが大切なのです。

 

 

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ダメモトで始め、いつの間にか成功する中国人から学べ

中国は「低コストの世界の工場」から抜け出し、ドローンやシェアライド、さらにキャッシュレス社会といった新しいビジネスを生み出し、経済は成長しています。一方で、日本は今ひとつ元気がありません。

私はIBM在職中、中国の人たちと仕事をすることも多かったのですが、「彼らのビジネススタイルからは、学ぶべき点が多い」と実感しています。

たとえば1998年のこと。
当時の中国IBMは、日本I BMや韓国IBMよりもずっと小さい売上でした。
私はIBMアジアパシフィックで、ある製品のマーケティング担当でした。
中国IBMで事業責任者だった中国人女性の口癖は、「中国ビジネスを成長させたかったら、投資!投資!投資よ!」

常に投資を求めてきました。荒唐無稽なプロジェクトも多く、失敗も繰り返していましたが、彼女は失敗しても堂々としています。アジアパシフィック全体会議でも、こう言い切ります。

「私たちの実行はまったく問題ない。原因は〇〇〇だ。だから次は、□□□をして欲しい」

そして彼女の中国事業は、次第に成長してきました。

ちなみに彼女はIBM社歴20年でしたが、その後、「IBMは大きいわね。意志決定が遅すぎ!嫌になったわ」と言って退職し、香港にあるベンチャー企業の社長になりました。

 

一般的に中国人は、日本人が当惑するほど個人のエゴが強いのですが、裏返せば、「私はこれをやりたい」という考えが明確でシンプルだということ。 そしてダメモトですぐに実行します。

日本人の私から見ると、「危ないなぁ」「これはダメでしょ」と思うことでも挑戦し、ダメとわかると即原因を特定し、即修正します。前言撤回は日常茶飯事。やり方もどんどん変えるし、ハシゴを外されることも少なくありません。しかし当初の「これやりたい」という強い意志は決してブレません。そしていつの間にかうまくいきます。

彼らはダメモトで始め、試行錯誤を執拗に繰り返し、いつの間にか成功させるのです。

 

2016年、上海を中心に中国各地で始まったシェアライドも、瞬く間に1億台も普及し、1年後の2017年には市民の足となって大成功しています。その裏には膨大な失敗があります。しかし数多くの失敗から率直に学び続けて、ビジネスを急拡大させているのです。

 

中国のやり方をすべて真似する必要はありません。日本人には日本人ならではの良さもあります。
一方で、現代はもの凄いスピードで動いています。日本人が好きな根回しや計画に時間をかけすぎていては、縮小するばかり。だからこそ、「やりたいこと」を明確に持って、ダメモトで挑戦して学ぶ彼らのやり方からは、学ぶべき点が多いと思います。

 

 

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かね善様合同研修会@東京で、講演しました

2017年11月16日、総合食品商社のかね善様が東京・品川で実施された合同研修会で、『お客様が買う理由を、いかに作るか?「ニーズ対応」から、「ニーズサキドリ」への変革』と題して講演いたしました。今年7月12日に大阪で行った合同研修会の東京版です。

かね善様のお取引先である食品メーカー様を中心に100名の方々がお集まりになりました。

今回も食品メーカー様の事例を加えて90分の講演を行った後、35分の質疑応答を行いました。

質疑応答では、現場で奮闘されておられる皆様ならではのご質問をいただきました。

 

大阪に引き続き、このような機会をいただき、有り難うございました。